【将棋】藤井棋聖圧巻の3連勝でバナナ4強。天彦激闘もまったり敗退。【AbemaTVトーナメント決勝T4】
7月から生放送の決勝トーナメントに入っている第3回abemaTVトーナメント。既に3チームが準決勝進出を決めています。今回対戦するのはチーム永瀬<バナナ>とチーム天彦<まったり>。4強最後の枠を賭けた戦いです。
出場チーム
チーム永瀬<バナナ>は、永瀬拓矢二冠が、藤井聡太棋聖、増田康宏六段を指名したチーム。ドラフト当初から優勝候補と言われていましたが、予選Dリーグではチーム広瀬に苦戦し2位通過。やはりエース藤井棋聖の出来がチームを左右するでしょうか。
チーム天彦<まったり>は、佐藤天彦九段が、斎藤慎太郎八段、阿部光瑠六段を選んだチーム。予選Bリーグではチーム稲葉に対して6戦全勝するなど強さを見せ、1位で通過してきました。穏やかな雰囲気の3人ですが、将棋においては天彦リーダーを筆頭に激しさも持ち合わせているチームです。
藤井棋聖が力を発揮すればやはりチーム永瀬が有利。そうでなければ混戦になり、オールラウンドな阿部六段あたりがカギになるか、というのが戦前の予想でした。
対局結果
1局目 藤井〇ー✖斎藤
2局目 増田✖ー〇天彦
3局目 藤井〇ー✖阿部
4局目 永瀬〇ー✖斎藤
5局目 増田✖ー〇天彦
6局目 藤井〇ー✖阿部
7局目 増田〇ー✖天彦
チーム永瀬が5勝先取し、勝ち上がりとなりました。
チーム天彦はここで敗退です。
感想
藤井棋聖強いです。いや知ってたけど強いです。
チームの5勝のうち3勝を一人で挙げてしまいました。こんなエースがいたらそりゃチームは勝ちますわっていう感じです。
今回は3局とも落ち着いて丁寧に指し回し、リードを積み重ねて勝った印象で、横綱相撲的な、隙の無い戦いぶりに見えました。今後も藤井棋聖のこの調子が続くと優勝は堅いでしょう。そう思えるくらいでした。
そして今回のもう一つの見どころは、増田六段ー天彦九段の激闘3連戦でしょう。
3戦ともに終盤叩き合いの大激戦で、形勢も二転三転でした。
1局目は天彦優勢から寄せきれずで混戦になるも、最後に天彦九段が抜け出して勝ち。
2局目は増田六段が勝勢から毒饅頭で頓死。大逆転で天彦九段の勝ち。
決着局となった3局目は、増田六段優勢からの天彦九段必死の粘りで大激戦、最後は増田六段がなんとか勝ち切りという展開でした。
オサレで気品溢れる貴族さまである天彦先生が、頭を抱え髪を乱しながら、粘りの手を激しく指し続ける様は、視聴者を惹きつけチームを鼓舞するものであったと思います。
最後は力尽きましたが2勝1敗。すばらしい領主さまチームリーダーでしたね。立場に応じた義務を果たし領民を導く、本物の貴族です。
そして一方の増田六段も、1勝2敗ではありましたが、チームに勝ちをもたらす重要な勝利を3戦目にして挙げました。
2戦目は悔しい負け方でしたし、ずっとチームに貢献したいと言っていた増田六段に最後に勝ちが付いたのは良かったですね。
永瀬リーダーは今回1局だけでしたが、しっかり勝って貢献しました。もし増田六段が7局目で負けていたら、最後のプレッシャーのかかる場面で連投になっていたわけで、そこを受け持つのもまたリーダーの在り方かもしれません。
斉藤八段は2敗。タイトルホルダー二人に勝つことができませんでした。永瀬戦は有利も築いていたと思いますが勝ち切れず。じっくり指すタイプなだけに時間に追われて厳しかったかもしれません。
阿部六段も2敗。ともに藤井棋聖にやられてしまいました。オールラウンダーの強みを生かして予選では見事な戦いを見せていましたが、今回は手厚く対応されてしまいました。
展望
さてこれでチーム永瀬は4強。
優勝候補は、そのまま優勝してしまうんでしょうか。
チーム天彦はこれで敗退。もっと見ていたいチームでしたが残念です。
チーム永瀬の次の相手は、チーム康光<レジェンド>になります。
最年少チーム対最年長チームです。
普通に見れば若い方が有利ですが、なにせレジェンドですからね。4強まで来たのは伊達じゃありません。面白い戦いを見せてくれるでしょう。
次の放送は準決勝、チーム渡辺<所司一門>対チーム三浦<ミレニアム>。
間を置かずに来週やるようです。
楽しみにしましょう。
【将棋】丸山九段、メシも新棋聖も食う。千日手を経て快勝、藤井棋聖はここで敗退。【竜王戦決勝T】
竜王戦の決勝トーナメント、藤井聡太棋聖と丸山忠久九段の対局が24日に行われ、千日手指し直しの末、丸山九段の勝利となりました。藤井棋聖は今期竜王戦ここで敗退となります。
今局まで
藤井棋聖にとっては18歳最初の対局。3組ランキング戦では師匠の杉本昌隆八段を破って決勝トーナメントに進みました。
丸山九段は2組決勝で佐々木勇気七段に敗れましたが、2位で決勝トーナメント進出を決めています。
両者ともにこれが決勝トーナメント初戦で、今回初手合となりました。
1局目(千日手局)
振り駒で先手となった丸山九段が得意の角換わりを選択。早繰り銀か腰掛銀かと思われたところ、意表の棒銀に。
藤井棋聖も意表をつかれたか、対応に自信が持てなかった様子。時間をたっぷり使わされることになりました。
結局良くする順が見つけられなかったか、千日手に持ち込む形に。先手だった丸山九段も時間的優位を良しとしたか、あるいは後手番に自信ありと見たか、千日手を受け入れました。
2局目(指し直し局)
そして指し直し局。残り時間は藤井棋聖が約1時間30分、丸山九段が約4時間と、約2時間半の大差で始まりました。
後手の丸山九段が得意の一手損角換わり。これには藤井棋聖もうまく対応しましたが、中盤からやはり時間に追われます。
選択を迫る手を放ち、時には辛い時間攻めも繰り出す丸山九段の勝負術に、藤井棋聖も形勢を損ねる手を指してしまいます。
形勢に差がついても藤井棋聖は粘りを見せ、一歩間違えれば逆転という勝負手も放ちましたが、時間を残している丸山九段は正しく対応。
寄せきって勝ちを手にしました。
感想と展望
今回も谷川先生の感想まとめが簡潔で秀逸なので全乗っかりで。
昨日の竜王戦は丸山九段が強すぎたの一言に尽きます。
— ◇チーム康光 レジェンド◇第3回AbemaTVトーナメント (@TeamYasumitsu) July 25, 2020
先手での千日手は不本意かもしれませんが、結果的に時間の差を付けましたし、指し直し局の中盤以降の踏み込みは圧巻でした。
藤井棋聖は指し直し局は作戦勝ちだったと思いますが、
▲8八玉から囲いに行ったのが端攻めを誘発しました。
谷川浩司
丸山九段が作戦・パフォーマンス共に完璧に近いものを出したのだと思いますが、そうでもないと今の藤井棋聖には対抗するのが難しいということもあるでしょう。
今回時間差が勝負を分けた感じですが、藤井棋聖相手だと優勢を得ていても時間が残っていないと大変だというのは、棋聖戦第3局や王位戦第2局で思い知らされたところですからね。
敗れた藤井棋聖、今回はかなり悔しそうに見えました。「やられた」というより「ミスった」という感覚なのでしょう。これを糧にまた成長ちゃうんでしょうね。怖いですね。
さて竜王戦の挑戦争いは、本命とも目された藤井棋聖が敗れて予想が難しくなりました。やはり羽生先生に・・・と思ってしまうのですが、久保・丸山あたりも有力かなあという気がします。
どうなるでしょうか。楽しみですね。
将棋めし
大食漢で有名な丸山九段。今回もすごかったです。
藤井昼。
丸山昼。完全に二人分。
藤井夜。
丸山夜。大盛は基本。
【将棋】シリーズ初めての普通の決着。終盤からの逆転で永瀬叡王2勝目。【叡王戦七番勝負】
永瀬拓矢叡王に豊島将之竜王名人が挑戦している叡王戦七番勝負。第5局が行われ、永瀬拓矢叡王が勝利。2勝目を挙げました。
前回も書きましたが、ここまで今期の叡王戦番勝負は異様な展開。
第1局でいきなり千日手になったかと思えば、第2局と第3局はめったに出ないはずの持将棋が連続。手数も第4局までで合計889手と多く、この人たちいつまで将棋すんの状態となっていました。
第4局まで消化したのに、ここまでの戦績はともに1勝1敗。
七番勝負のはずが、九番勝負になる可能性まで出てきました。
そんな中で迎えた第5局。
永瀬叡王の先手で、戦型は相掛かり。
序盤から永瀬叡王が工夫を見せますが、豊島竜王名人が上手く応対。
豊島良しの状況で中終盤あたりまで進んでいきます。
しかし終盤に入るあたりで永瀬叡王が盛り返し、互角の終盤へ。
両者1分将棋となり、形勢も揺れ動き混沌としてきます。
最後に抜け出したのが永瀬叡王。寄り筋を見つけ出し、113手で勝ちとなりました。
これでシリーズは永瀬叡王の2勝、豊島竜王名人の1勝。
今シリーズ初、千日手も持将棋もなく、長手数でもなく、普通に決着しました。
ただ大逆転とも言えるような形ではありましたね。
バナナが効いたんでしょうか。
次局で永瀬叡王が防衛に王手をかけるのか。
豊島竜王名人がタイに戻すのか。
あるいはまた…なのか。
まだ先が読めない叡王戦。次も楽しみにしましょう。
【将棋】またしても持将棋。終わりの見えない叡王戦、永瀬叡王が1勝取る。【叡王戦七番勝負】
いや一体どうなっているのか今期の叡王戦。
永瀬拓矢叡王に豊島将之竜王名人が挑戦している叡王戦七番勝負。19日にその第3局と第4局が行われました。
結果は、第3局目は207手でまたも持将棋。第4局目は232手で豊島挑戦者の勝ち。
また持将棋が出るわ立て続けに200手超えが出るわで、もうどうなってんのやらです。
まあ順を追って見ていきましょう。
千日手と持将棋
まずはご存じない方のために少し「千日手」と「持将棋」について軽く説明を。
どちらも引き分けみたいなものですが、少し意味合いが違います。
千日手とは、対局中に同じ手順が4回繰り返されたとき、その1局はナシにして最初から指し直しになるやつです。基本的にはその日のうちに指し直しになります。
人によりますが、「珍しいけどたまにはある」くらいの発生率で千日手は起こります。
持将棋とは、お互いの王様が上の方まで上がっていって、「これどっちも詰ますの無理だわ」っていう場合に、自駒を点数換算して、どっちも24点以上あったら引き分け(無勝負)になるっていうルールです。両者の合意で成立します。
千日手と違ってめったに発生しません。しないはずです。しないはずでした。
これまでの経過
第1局
持ち時間各5時間で行われた第1局目は、先手の永瀬叡王が優勢と見られた状況から、後手の豊島竜王名人の千日手志向に呼応し、113手でまさかの千日手。夜9時前から指し直し局が行われ、115手で豊島竜王名人の勝ちとなりました。
大激闘で、1局目から大変な展開になったなーなんて言ってました。
↓そのときの記事はこちら。
第2局
こちらも持ち時間各5時間。終盤ごろ有利と見られていた永瀬叡王が入玉を目指し、豊島竜王名人も難しい状況ながら入玉狙いに。点数勝負の模様となり、ギリギリ足りないかと思われた豊島竜王名人が手を尽くしてなんとか24点を確保。222手で持将棋成立となりました。
千日手とは違い指し直しとはならず、引き分けで終了。
最終戦の予定だった第7局の後に第8局が設けられることになった模様です。
↓このときの記事がこちら。
ここまで2局で、千日手に続きレアな持将棋と続いたので、また何かあるんじゃないか?という空気はなんとなく漂っていました。
そして迎えたのが第3・4局。
叡王戦は2局ごとに持ち時間が変わるんですが、3・4局目の持ち時間は各1時間。
タイトル戦では初の時間設定で、短いので1日で2局が指されることになります。
第3局
まずは14時から始まった第3局目。
永瀬叡王の先手で、戦型は矢倉。永瀬叡王の研究手順という感じで進行していき、やや永瀬有利のまま両者1分将棋となりますが、まだ寄せるには大変な状況。
ここで永瀬叡王は寄せを急がず、上部開拓し自玉をジワジワ上げていきます。またしても負けない将棋が発動です。
対して豊島竜王名人も、苦しいながら入玉を目指していきます。これは第2局目と同じ展開。焦点は豊島側の点数が足りるかどうか。
永瀬叡王も強引に大駒を取りに行きますが取り返され、妨害しきれません。
結局豊島玉は入玉を果たし24点も確保。豊島竜王名人の提案を永瀬叡王が了承し、207手をもって持将棋成立となりました。
【第5期 #叡王戦 七番勝負】
— ニコ生公式_将棋 (@nico2shogi) July 19, 2020
「第3局も #持将棋」
7/19(日) 永瀬拓矢叡王(先手) vs.豊島将之竜王・名人(後手)の第3局は、207手までで持将棋が成立。
(引分で指し直し無し)
叡王戦七番勝負、2回目の持将棋は史上初。
第4局は19時より放送いたします。
▼視聴https://t.co/yR3oNd9UBc pic.twitter.com/YMdN7Ii7wP
まさかの2局連続の持将棋。
ただでさえ激レアな持将棋が、2連続で、しかもタイトル戦で発生するという異常事態となりました。
持ち時間各1時間の将棋でしたが、14時に始まり18時前に終了。4時間の熱戦です。疲れの見える対局者二人でしたが、1時間半後には第4局目が開始されます。
第4局
そして19時半からの第4局目。
豊島竜王名人の先手。後手の永瀬叡王が横歩取りに誘導します。
横歩取りはまず持将棋にはならず、手数も短めで終わりやすい戦型ということで、やや安堵感が漂います。
形勢は揺れつつも豊島優勢に傾き終盤戦へ。70手で両者時間を使い切り、1分将棋に。
永瀬叡王が攻めかかり、豊島竜王名人が受け続ける時間が続き、何度か永瀬叡王も逆転のチャンスも得るも生かしきれないまま、反撃を受けいよいよ豊島勝ちかと思われた場面もありました。
しかし永瀬叡王も粘り続けます。そして豊島竜王名人にもミスがあったらしく、また混沌。
まあそこからもなんだかんだありました。たぶん二転三転していたのでしょう。前局からの疲れもある中ずっと1分将棋だとそうもなります。
激戦から最後に抜け出したのは永瀬叡王。なんとか詰みを見つけ出し、永瀬叡王が今シリーズ初勝利を手にしました。
19時30分から始まり、0時直前に終了。4時間半、232手の死闘でした。
【第5期 #叡王戦 七番勝負】
— ニコ生公式_将棋 (@nico2shogi) July 19, 2020
「永瀬拓矢叡王、巻き返す」
7/19(日) 永瀬拓矢叡王 vs.豊島将之竜王・名人の第4局は、永瀬叡王が232手までで勝利し、初のタイトル防衛に向けて1勝1敗2分のタイとしました。
ただいま、感想戦を生放送中です。
▼視聴https://t.co/RvcmE9DMsr pic.twitter.com/6SkEpKIJsK
まとめ
これで叡王戦七番勝負は第4局を終えて1勝1敗のタイ。
千日手局を含めれば、5局やって2回しか決着してないことになります。
手数で言えば第1局は113手+115手、第2局は222手、第3局は207手、第4局は232手。
合計で889手となります。これは通常のほぼ8局分。
つまり、8局分の手数をかけて5局を指し2局が決着したということになります。
なんとまあ効率の悪い・・・。
これで第7局までは確実、最大で第9局目までおこなれることになりました。
この調子だとそれ以上になる可能性も考えられます。
いつ終わるんでしょうか今期叡王戦。
最後までなんとか見届けましょう。
【将棋】弟分ふたりの活躍で所司一門4強。ダニー不足でフォーカス敗退。【AbemaTVトーナメント決勝T3】
7月から決勝トーナメントに入っている第3回abemaTVトーナメント。決勝トーナメント1回戦の第3戦はチーム渡辺<所司一門>とチーム糸谷<フォーカス+1>の対戦となりました。
今回も生放送です。ちなみに直前には藤井棋聖のJT杯が放送されていたので、観る将はずっとアベマに張り付くこととなりました。観る将まじ忙しい。
出場チーム
チーム渡辺<所司一門>は渡辺明二冠が近藤誠也七段、石井健太郎六段を選んだ同門チーム。予選リーグではチーム稲葉の追い上げをギリギリでかわしての2位通過でした。優勝賞金ゲットで所司七段に恩返し(?)なるか。
チーム糸谷<フォーカス+1>は糸谷哲郎八段が、高見泰地七段と都成竜馬六段のNHK将棋フォーカスMC二人を選んだチーム。予選では混戦でしたが1位通過となりました。果たしてNHKに顔向けできる結果を出せるのか。向井葉月さんは見ているのか。+1ことダニーの剛腕は唸るか。
対局結果
1局目 近藤〇ー✖糸谷
2局目 渡辺✖ー〇都成
3局目 石井〇ー✖高見
4局目 近藤〇ー✖都成
5局目 渡辺✖ー〇高見
6局目 石井〇ー✖都成
7局目 渡辺〇ー✖高見
チーム渡辺が5勝先取し、勝ち上がりとなりました。
チーム糸谷はここで敗退です。
感想
チーム糸谷が対戦相手予想をズバズバ当て、相手の予想を外したオーダーをぶつけていき、チーム渡辺が困惑しまくるという面白い流れでしたが、結果はチーム渡辺の勝ち。糸谷八段は1回しか登場せずに終わってしまいました。
チーム戦ならではの戦略性という部分では面白かったのですが、やっぱりダニー先生の対局もっと見たかったなあ・・というのが正直なところです。さいごまでもつれる展開ならさらに盛り上がったのでしょうが。
ただ今回強かったのは、チーム渡辺の若手二人、近藤七段と石井六段。
2人とも2戦2勝とチームに大きく貢献しました。
チーム渡辺は他チームと比べてリーダーの実績が突出していてワンマンチームに見えてしまう感じがあるので、この二人が活躍したのは良かったですね。
近藤七段はじっくりとした落ち着い指しし回しが光ってました。
先行されても的確に対処して、相手に時間を使わせて、優位を得たらあとは盤石という感じでした。
石井六段は6局目の都成戦が印象に残りましたね。追い込まれたと思われたところから飛車を見捨てて攻めかかり、激戦に持ち込んで勝ちをもぎ取る見事な差し回しでした。
渡辺二冠は終盤にミスが出て逆転されたりと、はじめの2局は冴えませんでしたね。ただ3局目では粘る相手になんとか勝ち切り、戦いに決着をつけました。タイトル戦などでお疲れもある中、何だか「ありがとうございます」という気分になりました。
一方チーム糸谷は、オーダー予想こそ完璧でしたが、うまく回りませんでしたね。もっとダニー先生の出番が欲しかった。
前日に集まって練習と作戦会議をしていたようですが、そのときに糸谷八段が最下位だったらしいので、それも出番が減った理由だったのかもしれません。
高見七段は1勝2敗。彼らしいチーム思いのコメントは胸を打ちましたが、最後はリーダーにつなげることができず無念でした。ただ5局目の渡辺戦1回目は激戦で、終盤に怪しく粘って相手のミスを誘発しての逆転勝ちは見事でした。らしさが出ていたと思います。
都成六段も1勝2敗、すべて後手番でした。チームの重責を担って気合も入っているようでしたが、序盤は上手くいっていたものの、終盤時間に追われて厳しかった印象です。渡辺戦ではうまく抜け出しましたが、近藤・石井には上手く指されてしまいました。
さてこれでチーム渡辺は4強。次はチーム三浦<ミレニアム>との対戦となります。
やはり若手の出来が勝敗を分けそうですね。
チーム糸谷はこれで敗退。面白いメンバーがそろったチームだったので残念ですが、ここまで楽しませてくれました。
次戦は決勝トーナメント1回戦の最後、チーム永瀬<バナナ>対チーム天彦<まったり>の対戦です。あの人も出るので世間的な注目もあるかもしれません。
楽しみですね。
【将棋】若き天才の初戴冠。藤井聡太棋聖誕生、またも将棋界の歴史が動いた。【棋聖戦五番勝負】
渡辺明棋聖に藤井七段が挑戦している棋聖戦五番勝負。渡辺棋聖の1勝、藤井七段の2勝で迎えた第四局が関西将棋会館で指され、藤井七段の勝ち。
これを持って棋聖位奪取となりました。
藤井棋聖誕生。17歳にして初タイトル獲得です。 おめでとうございます!
対局内容
渡辺棋聖の先手番で、矢倉を採用。
矢倉は1局目・2局目と採用され、どちらも藤井七段が勝っている戦型です。
途中までは2局目と同じ進行でしたが、やはり渡辺棋聖が工夫を出しました。
その後渡辺棋聖が大きく有利を得たとみられる場面もありましたが、藤井七段が盛り返しいったん互角近くに。
そのあと上手く指し回して徐々に藤井七段が有利を得ていきます。
そこからは持ち前の終盤力を発揮。徐々に渡辺棋聖を追い詰めていきます。
そして最後の形作りにゆっくり対応し、渡辺棋聖の投了。
藤井七段の勝ちとなり、新棋聖の誕生となりました。
初戴冠
藤井新棋聖は3日後に誕生日を迎える17歳。
最年少タイトル獲得記録を30年ぶりに更新することになりました。
もうすぐ18歳となるとそろそろ同年代のプロ棋士も誕生し始めるはずですが、その前にもう頂点まで行ってしまいましたね。現役最年少棋士がタイトルホルダーって凄い。
これで将棋界における序列も、永世資格者を別にすれば、豊島竜王名人・永瀬二冠・渡辺二冠・木村王位に次ぐ第五位となりました。ほとんどの棋士が彼に上座を譲ることになります。藤井さんの方が気を遣いそうですね。
感想
いやー本当に獲ってしまいましたね。
思えば準決・挑決からずっと、そして第1局・2局と強い勝ち方だったので、そのまま3連勝するのかとも思っていました。ただ3局目で渡辺棋聖も研究で上回って圧倒したので、ちょっと結構怪しくなった?とも感じていました。
今日も中盤までかなり押されていましたが、劣勢から上手くアヤをつけて切り返し、うまい構想で優位を得て、持ち味のの終盤力で押し切ったのはさすがでした。強さが表れていました。
総じて特定の戦型や戦法に頼ることなく、流れや勢いとかでもなく、実力で勝ち取ったという感じがしますね。
ただ敗れた渡辺棋聖も強かった。番勝負がもっと長く続いていけば、渡辺ペースになっていった気がします。次は名人戦頑張ってほしいと思います。
さて藤井新棋聖、次は王位を狙っていくことになります。
一気に二冠となるのか、木村王位が巻き返すのか。
将棋界の流れが左右されるかもしれません。今後も楽しみですね。
あ、NHKで速報テロップが流れてました。すごいな。
【将棋】最後の最後に崩れた王位。劇的大逆転で藤井七段が2勝目。【王位戦七番勝負】
木村一基王位に藤井聡太七段が挑戦している王位戦七番勝負。第2局が2日間にわたって行われ、挑戦者の藤井七段が勝ちました。
最後の最後の大逆転。劇的な決着でした。
対局場
対局が行われたのは北海道札幌市のホテルエミシア札幌。
王位戦は地方紙が持ち回りで主催し、その地元で対局する形になっています。今局は北海道新聞の主催なので札幌対局です。(前局は中日新聞主催で愛知対局でした。)
後で画像も載せますが、おいしい食事がいただけそうなホテルでした。
対局1日目
木村王位の先手番で、相掛かりの出だしになりました。
「相掛かりは他の戦型と比べて定跡が整備されておらず力戦型(出たとこ勝負)になりやすい」というのは観る将をやっていると自然に身につく基礎知識なんですが、今局はまさにそういう感じに。
前例もなく構想力を問われる展開となり、じっくりとした中盤に入ります。
そのまま夕方6時を迎え、封じ手となりました。
封じ手
40手目を封じたのは藤井七段。タイトル戦で封じ手をするのは初めてでした。
一応JT杯では経験があるようですが、まああれはイベントみたいなもんですからね。今回はちょっと緊張したのではないでしょうか。
裏面に署名を入れておらず、木村王位にそれを優しく教えられたという場面がありましたが、藤井七段は上位者が先に署名するものだと思っていたらしいとのこと。
上位者に対する謙譲と優しく教える先輩。いいですねこういうの。将棋界の素晴らしいところです。
また今回封じ手が特別に3通作られました。
封じ手はコチラ。3通確かに。 pic.twitter.com/cyHaCsAk2j
— 北海道新聞文化部 (@doshin_bunka) July 14, 2020
ふつうは2通なのですが、1通をチャリティーにという提案が木村王位からあったらしく、豪雨災害などに役立てられるそうです。木村先生のお心遣い、素晴らしいですね。
チャリティーを想定していたなら藤井七段の方が封じ手をしたのは予定かな?とちょっと思ってしまうのですが。まあ気にしないでおきましょう。
「封じ手」チャリティーに 木村王位が提案:北海道新聞 どうしん電子版
対局2日目
封じ手開封から始まった2日目。
午前中はじりじりとした展開でしたが、午後になって形勢が動き始めます。
攻めを呼び込んで受け返す木村王位の持ち味が効果を発揮し、有利を築くことに成功。
そして終盤へ。完全に優勢となった木村王位が決めに行きますが、藤井七段も苦しいながら手を尽くして粘ります。
それでも粘り切れないかと思ったところでしたが、木村王位に緩手があったのか、藤井七段に反撃の糸口となる一手を許してしまうことに。
そして時間切迫の中、守りも気にしなくてはいけなくなった木村王位にミスの連鎖が。一方藤井七段は一気に息を吹き返して持ち前の終盤力を発揮、すべて最善の手で一気に木村玉に襲い掛かりました。
最後の最後で大逆転。藤井七段の勝ちとなりました。
感想
いやー。びっくりしました。完全に木村王位の勝ちだと思って見てました。
2日間かけて脳ミソ絞って組み立ててきたものが、最後の最後にガラガラと音を立てて崩れてしまいましたね。
ほんの少しの隙が出ただけで。会心譜となるはずだったのに。残酷ですね将棋って。少し切なくもなりました。
まあ私はすごいもん見れたっていう感動の方が大きいですが。
今回は「木村王位が寄せ損なった」という評価になるんでしょうけど、逆転を狙い続けた藤井七段の勝負術も光ります。
攻守が逆だったら「若さと老獪さ」として語られてたんでしょうね。「若さゆえのミス、老獪な逆転術」って。今回逆ですからね。
棋聖戦でも似た状況でしたが、渡辺棋聖は時間を残していたので慎重に対応できました。今回は木村王位に時間が無かったですね。
いつも先行してリードを広げて勝っている藤井七段が、なぜこんな勝負術を身に着けているんでしょうか。しかも若いのに。先天性のスキルなんでしょうか。恐ろしい子です。
展望
さてこれで王位戦七番勝負は藤井七段の2連勝となりました。
木村王位は先手番で痛い敗戦。
とはいえ良い将棋を指していたのは木村王位の方ですし、調子も悪くないのでしょう。
気持ちを切り替えて次に臨んでほしいと思います。
次の第3局は少し期間が空いて、8月4・5日に行われます。
藤井七段はこの時にはもう棋聖戦五番勝負が終わっています。
「藤井棋聖」として2つ目のタイトルを狙いに行くのか。
棋聖を逃し王位奪取に賭けているのか。
どんな状況になっているのか、楽しみですね。
将棋めし
1日目午前のおやつ
1日目昼食
1日目午後のおやつ
2日目午前のおやつ
2日目昼食
2日目午後のおやつ
【将棋】大三元上がれず。リーダー対決を再び制しミレニアム4強。【AbemaTVトーナメント決勝T2】
先週から8チームによる決勝トーナメントに突入している第3回abemaTVトーナメント。チームレジェンドに続く2チーム目のベスト4を決める戦いは、チーム三浦<ミレニアム>対チーム広瀬<大三元>の対戦となりました。
チーム三浦<ミレニアム>は三浦弘行九段、高野智史五段、本田奎五段のチーム。予選Aリーグではチーム豊島と同点で2位となり、リーダー同士の一番勝負で三浦九段が勝ったことで予選突破を決めました。
チーム広瀬<大三元>は広瀬章人八段、青嶋未来六段、黒沢怜生五段によるチーム。麻雀好きのメンバーを揃えたチームで、予選Dリーグでは無敗の広瀬八段を中心に強さを見せ、1位で突破。優勝候補との声も上がっていました。
やはり予選の結果からするとチーム広瀬が勝ちそうかなあと予想していました。
対局結果
1局目 本田〇ー✖青嶋
2局目 本田✖ー〇広瀬
3局目 三浦〇ー✖黒沢
4局目 高野〇ー✖青嶋
5局目 三浦✖ー〇黒沢
6局目 高野✖ー〇広瀬
7局目 本田✖ー〇黒沢
8局目 高野〇ー✖青嶋
9局目 三浦〇ー✖広瀬
チーム三浦が5勝先取し、勝ち上がりとなりました。
チーム広瀬はここで敗退です。
感想
最終9局目までもつれこみ、リーダー同士の対局で決着するという熱い展開でしたね。しかも最後はここまで無敗の広瀬八段に、予選でもチームを救った三浦九段が激戦の末に勝利するという結末。一見地味なチーム三浦(失礼)ですが、主人公的な活躍を見せました。
最終局に繋いだ8局目の高野五段も素晴らしかったですね。青嶋六段の攻勢に追い込まれたかというところでの必死の受け。紙一重で自玉に刃を届かせませんでした。局後のインタビューで放心状態みたいになってたのが印象的でした。
本田五段は1勝2敗。広瀬八段と黒沢五段には上手く指されてしまいました。予選で豊島竜王名人を倒した底力を次は見せられるでしょうか。
一方惜しくも敗れた広瀬チーム。広瀬リーダーは最後に敗れたものの、それまでは予選から含めて6戦無敗と実力を発揮。また結果だけでなく内容からも強さを感じさせられました。ここで終わってしまったのは残念ですが、いまのとこ今大会で一番強い人という印象です。
黒沢五段も予選から強さを見せていて、今回も力を発揮し2勝1敗。三浦九段と五分の戦いを見せました。7局目の本田戦の指し回し方の上手さが印象に残っています。
青嶋六段は無念の3連敗。ただ内容が悪いとは全く思いませんでしたし、積極的にいっていた印象です。もしかしたら攻め急いだか、攻めさせられたということがあったのかもしれません。素人なんでわかりませんが。とりあえず弱いとは思わなかったとだけ言いたい。
これでチーム三浦が4強。さほど「強い」という感じはないんですが、安定感と大事なところでの勝負強さでここまできました。三浦九段のチーム思いなコメントが印象に残ります。この先どこまでいけるでしょうか。
チーム広瀬は強かったし惜しかったです。青嶋六段を励ます会を開いてあげてください。卓でも囲んで。
次回の放送は18日土曜日。チーム渡辺<所司一門>とチーム糸谷<フォーカス+1>の対戦となります。渡辺先生はタイトル戦の最中での参戦。息抜きのつもりでやっていただけたらいいかなあと思います。
次回も楽しみですね。
【将棋】恐るべき魔王の研究力。渡辺棋聖、藤井七段に反撃の1勝。【棋聖戦五番勝負】
渡辺明棋聖に藤井聡太七段が挑戦するヒューリック杯棋聖戦五番勝負。第三局が9日行われ、渡辺明棋聖が挑戦者の藤井聡太七段に勝利。五番勝負は渡辺棋聖の1勝、藤井七段の2勝となりました。
ここまでの経過
棋聖戦の挑戦者が記録とともに藤井七段に決まったのがひと月前。先月8日に行われた一局目は終盤の熱戦の末に藤井七段が勝ち。先月28日に行われた二局目はAI超えと言われる手も飛び出して藤井七段が驚きの完勝。内容のある2連勝で、藤井七段が棋聖獲得に王手。渡辺棋聖にとっては後がない状況で本局を迎えていました。
そして本局は藤井七段の先手番。ストレートでのタイトル奪取もあるかと思われました。
対局場
この日の対局場は東京の都市センターホテル。過去にもタイトル戦が行われている場所ですが、将棋盤にコーヒーがぶちまけられたり、対局中に避難訓練のサイレンが鳴りひびいて中断したりと、ハプニングが続いた場所でもあります。ちなみにどちらも豊島将之現竜王名人が居合わせてました。今回は豊島先生がいなかったので(?)、滞りなく対局が進行しました。
対局内容
藤井七段の先手で、得意戦型の角換わり腰掛銀で始まりました。
両者の研究手順だったようで、どんどん手が進みます。午前中から76手まで進行し、もはや中終盤に入ろうかという早く激しい展開となりました。
午後からは渡辺棋聖が攻め藤井七段が受ける展開。しばらくはまだ研究手順だったのか短考で応対していた藤井七段でしたが、やがて長考に沈むことに。時間差も大きくなり、そのあたりから徐々に渡辺有利に形勢が振れはじめます。
渡辺優勢となっても藤井七段は時間のない中で手を尽くしましたが、渡辺棋聖はたっぷり残っていた時間を投入し、慎重に慎重に手を進めました。
そして142手で渡辺棋聖が勝ちとなり、五番勝負を1勝2敗としました。
感想
谷川先生の感想まとめが素晴らしいので全乗っかりしたいところですが。
棋聖戦第3局。渡辺棋聖の作戦選択、時間の使い方に、この一局にかける思いと綿密な準備を感じました。
— ◇チーム康光 レジェンド◇第3回AbemaTVトーナメント (@TeamYasumitsu) July 9, 2020
苦しくなってからの藤井七段の勝負術と終盤力も流石で、この観点からも、渡辺棋聖が終盤に時間を残しておいたのは大正解でした。
第4局がますます楽しみになりました。
谷川浩司
しかし1、2局目の内容が良かったので、そのまま藤井七段がストレートで行くかとも思いましたが、さすがの渡辺先生ですね。局後のインタビューで作戦勝ちということを言われてましたが、改めて渡辺三冠の事前研究の凄さを感じました。今回の番勝負だけでなく、これからも藤井七段の超えるべき壁兼学ぶべき相手として君臨し続けるのでしょう。
展望
さてこれで渡辺棋聖が1勝を返し、次は渡辺棋聖の先手番。また作戦が上手くハマれば星を五分に戻せる状況です。2局目では後手の藤井七段の積極策に押されましたが、今度は先手番を有利に使えるかどうかがカギでしょうか。
渡辺棋聖が五分に戻すのか、それとも藤井七段が初戴冠となるのか。次局が楽しみです。
【将棋】現役最年長棋士、まだまだ現役最年長棋士を続ける。【桐山清澄九段】
概要
天才高校生の最年少記録の話題でざわざわしている将棋界。そんな中現役最年長の棋士、72歳の桐山清澄九段が静かに意地を見せました。
「負ければ即引退」という対局で、千日手指し直しの末に勝利。
まだしばらくは現役棋士として君臨することになったんです。
桐山九段とは
桐山九段はタイトル4期の実績を持つ元トップ棋士で、これで通算995勝。
あの加藤一二三九段が現役を引退した3年前から、現役最年長棋士となっている大ベテランです。豊島将之現竜王名人の師匠としても知られています。
引退は決定済
そんな桐山九段、実は既に引退は決まっています。
自らそう決めたわけではありません。前期の順位戦C級2組で3度目の降級点を喫し、フリークラスの年齢制限も超えているため、規定により強制的に引退となったのです。
ただ引退そのものは決まっても、実際の引退日は「最後の公式戦対局を終えた日」ということになります。新年度の棋戦には参加できませんが、唯一、昨年度から継続中の竜王戦はまだ残っていました。
桐山九段は竜王戦5組に在籍。下から二つ目のクラスです。6組に落ちれば次の参加資格はありませんが、5組に残留すれば、竜王戦に限り来期も参加できる、そんな状況でした。
本日の竜王戦に勝ち、現役続行を決めた桐山清澄九段です。 pic.twitter.com/6awzN0CRvK
— 関西将棋会館【公式】 (@shogi_osaka) July 7, 2020
1000勝までは
1000勝までもあと5勝としましたが、竜王戦のみで、かつ6組に陥落すれば引退という状況で5つ勝つのは至難と言っていいでしょう。ですがそれを目標にして頑張られている姿は胸を打ちますね。
できるだけ長く現役を続けられますようお祈りしております。
【将棋】千日手の次は持将棋。負けない将棋か勝てない将棋か。【叡王戦七番勝負】
永瀬拓矢叡王に豊島将之竜王名人が挑戦している叡王戦七番勝負。その第二局が5日に行われました。
現在4つのタイトル戦番勝負が並行して行われている将棋界。3日に1回はタイトル戦が行われているような状況で、観る将としても追いかけるのが大変な状況になっています。
なので今局は何もなければ軽く流し見るに留めて、記事も書かなくていいかと思ってました。ところが・・・。
まあ順を追っていきましょう。
開幕局となった前局は、永瀬有利とみられていた状況から、夜になってからまさかの千日手。当日指しなおしの結果、挑戦者の豊島竜王名人が勝っています。
千日手になったとき、ニコ生はこんな感じ。
永瀬叡王の千日手歓迎の姿勢にみんなが驚愕し、恐れおののいたのでした。
そして迎えた第二局。
開始前に行われた戦型予想アンケートはこうなりました。
千日手が42.8%。いや戦型予想・・・。
そんな中始まった将棋は、「親の顔より見た戦型」でおなじみの角換わり腰掛銀で始まりました。
そしてまあなんやかんやあって夕休後。優勢とみられた永瀬叡王が、代名詞の負けない将棋を実践するべく入玉を狙います。
そして永瀬玉の入玉が確実とみて、豊島竜王名人も入玉狙いに。持将棋をめぐって、豊島側の点数が足りるかどうかの勝負になりました。
解説の深浦九段に因んだようにわっしょいと玉が上がり、入玉大好きな糸谷八段の大盤解説も熱が入り始めます。
23点まで確保した豊島竜王名人に対して、「あと1点」のコールが響き渡るニコ生(24点で持将棋)。もはや将棋中継とは思えません。
結局そこから30手ほどかけて手を尽くした豊島竜王名人が、なんとか駒を取り1点を確保。持将棋成立となりました。
ちなみに持将棋とは「おっしゃどっちも24点以上あるな!ほなこれ以上やっても勝負つかんし引き分け再試合な!」っていうことです。
なので次はまた第2局。この日の対局は夢オチです。対局があったような夢を見ていただけです。タイムシフトでいつでも見れる夢です。
【将棋】第5期叡王戦 七番勝負 第2局 永瀬拓矢叡王 vs 豊島将之竜王・名人 - 2020/07/05(日) 09:30開始 - ニコニコ生放送
しかし第1局では千日手。第2局では持将棋。どうなってるんでしょうか今期の叡王戦。指し直し含め3局やって、決着がついたのは1局のみ。終わりが見えません。永瀬叡王の無限フィールド怖いです。
とりあえず次は7月19日。豊島挑戦者の1勝0敗で迎える第2局となります。
2勝分損してる感のある永瀬叡王が今度こそ勝てるのか。豊島挑戦者がまた負けを回避するのか。あるいは永遠に勝負はつかないのか。
楽しみに行く末を見守りましょう。
【将棋】流れは完全に森内。振り飛車を振り切りレジェンド4強へ。【abemaTVトーナメント決勝T】
いよいよ8チームによる決勝トーナメントに突入となった第3回abemaTVトーナメント。初戦はチーム康光<レジェンド>とチーム久保<振り飛車>の対決となりました。
そして決勝Tからはなんと生放送。対局者だけでなく視聴者にとっても緊張感があります。あと、まだ誰も結果を知らないというのがいいですね。予選リーグはかなり前に収録が終わっていたため、出場棋士たちも結果を知りつつネタバレにならないよう気を遣いながらアベマトーナメントの話をしてましたから。同じ時間を共有できるというのは嬉しいことです。
また、本戦からはルールも変わりました。予選では3人がそれぞれ2勝先取のポイント制で戦いましたが、本戦ではチームで5勝先取という方式となりました。ただし1人あたり1戦以上3戦以内の出場制限があります。オーダーの組み方も重要になりますね。
チーム康光<レジェンド>は佐藤康光九段、谷川浩司九段、森内俊之九段のレジェンド級棋士3人によるチーム。ベテランは不利と言われる早指し戦ですが、ものともせずに勝ち上がってきました。
チーム久保<振り飛車>は久保利明九段、菅井竜也八段、今泉健司五段の関西振り飛車党3人によるチーム。武器の振り飛車を駆使し強豪ぞろいのAリーグを1位で通過してきました。
比較的年齢の高いチーム同士の対戦ですが、唯一若手の菅井八段が星を集められればチーム久保が勝ちやすいかなあというのが戦前の予想でした。
対局結果
1局目 谷川〇ー✖今泉
2局目 康光✖ー〇菅井
3局目 森内〇ー✖菅井
4局目 谷川✖ー〇久保
5局目 森内〇ー✖今泉
6局目 康光✖ー〇久保
7局目 谷川〇ー✖菅井
8局目 森内〇ー✖久保
チーム康光が5勝先取し、勝ち上がりとなりました。
チーム久保は残念ながらここで敗退です。
感想
交互に星を取り合う緊迫した展開でしたが、最後は森内九段が決め切りました。いやー予選からそうでしたが、森内先生が強いですね。この日は唯一3連勝を決めました。流れは完全に森内というやつです。NKMです。よくわからんけど。
今泉戦は完勝でしたが、菅井戦と久保戦はギリギリの戦いになりながらも冷静な対処が光っていました。このルールは森内先生のフィールドなんでしょうかね。
最年長の谷川先生が勝ち越したのも凄いことだと思います。特に7局目、若い菅井八段に対して劣勢を跳ね返して勝った将棋は、チームにとっても大きな勝ちでした。局後に「ドキドキが止まらない♥」と言われてたのが印象的でした。♥はいらんか。
康光九段は菅井戦では激戦を演じたものの負け、そして久保戦では大きな見落としがあって負けと2連敗。予選では糸谷八段を下すなど剛腕も見せましたが、次戦に期待でしょうか。
一方のチーム久保は、菅井八段が1勝2敗と星を集められなかったのが痛かったですね。康光戦は激戦を勝ちましたが、森内戦と谷川戦では時間がなくなってからベテランに冷静な対処をされてしまいました。
久保九段は力を発揮しました。強かったです。最後は森内九段に激戦の末敗れたものの、谷川戦と康光戦は危なげなく勝ちましたし、リーダーとしての役割は十分果たしたと思います。
今泉五段は2連敗と残念でしたが、谷川戦は有利に進めていましたし勝てた将棋でした。森内戦は完敗でしたが、「じっくり」とのアドバイスに従いすぎた結果だと思います。チームの思い入れも深かっただけに残念ですが、大会を盛り上げたいいキャラでした。
これでチーム康光は4強。苦しいと思われたベテランチームがここまで来るとは思っていませんでした。さらに上まで行けるんでしょうか。楽しみですね。
チーム久保は予選の最初から登場し、ツイッターなども通じて大会を盛り上げ、我々を楽しませてきてくれました。 敗退は残念ですが、いいチームでした。
ちなみに今回初めての生放送でしたが、 緊張感はあってよかったものの、残念だったのは控室の様子がほとんど見られなかったことですね。予選ではチームメンバーのリアクションが見れて面白かったので。
生放送になることによってそれが見られなくなるのなら、正直生放送はデメリットの方が大きいくらいじゃないかという気がします。プレミアムなどで控室の様子も配信されるかもしれませんが。難しいところですけどね。
次回の放送は7月11日土曜日。チーム三浦<ミレニアム>対チーム広瀬<大三元>の対戦となります。こちらも生放送です。どうなるでしょうか。