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将棋のことなど

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【将棋】矛は盾を貫く。受け師を攻め倒して藤井聡太七段が先勝。【王位戦七番勝負】

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王位戦挑戦者が藤井聡太七段に決まってから一週間ちょいですが、はやくも七番勝負が開幕です。木村一基王位と藤井聡太七段は公式戦初手合い。第一局が愛知県豊橋市で指され、挑戦者の藤井七段の先勝となりました。

 

藤井七段は棋聖戦と並行してのタイトル挑戦ですが、棋聖戦の方はここまで2局とも将棋会館で指されているので、今回の王位戦で初めてタイトル戦らしいタイトル戦を経験することになったと言えるでしょう。

前日に現地入りして対局場の検分、撮影やインタビュー、前夜祭をこなして翌日朝から対局。前夜祭こそオンラインでしたが、これでこそタイトル戦といった感じです。おそらく藤井七段は今後何度も経験することになるんでしょうけどね。

 

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対局会場は藤井七段の地元愛知県、アークリッシュ豊橋というホテルにある音楽堂というきれいなチャペル。結婚式に使われる場所に畳を敷いての対局となりました。

ここで結婚せずに将棋するのこの人たちだけでしょうね。

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さて将棋の方ですが、両者の持ち味が出た名局となりました。

振り駒で先手となった藤井七段がエース戦法の角換わりを採用。後手の木村王位も追随し、先手の攻めを誘うような動きを見せます。藤井七段はそこに飛び込んでいき、1日目から激しい展開となりました。藤井七段が飛車を見捨てて踏み込んだところで1日目終了。

飛車取りから始まった2日目は、昼から藤井七段の攻勢が始まります。藤井が攻め、木村が受けという手が続き、そのまま攻めきれれば藤井勝ち、受け切って一手の余裕を得れば木村勝ちというギリギリの終盤戦へ。木村王位も受けの攻守を連発し、一つ間違えれば奈落の底という状況も作りましたが、藤井七段は読み筋とばかりに突破していきます。そしてついにそのまま最後まで押し切って、投了に追い込んでしまいました。

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これで七番勝負はまず挑戦者の藤井七段が先勝です。

初めての2日制の対局など慣れないことも多い中でしっかりと勝ってきましたね。2日目の午後は疲労を感じたとおっしゃってましたが、攻めを始めてからは戻すことなく最後まで押し切ってしまったので、攻め始める段階で相当読んでいたのだろうと推察されます。感覚なのか物量なのかわかりませんが、とにかく読みがすごい。積んでるCPUが違うというやつでしょうか。

 

木村王位も、実りはしなかったものの素晴らしい受けを見せてくれました。まだ七番勝負のうちの後手番を一つ落としただけなので、すぐに切り替えて次に向かっているでしょう。次は藤井玉に手をかける展開を見たいです。

 

次局は7月13・14日に札幌で行われますが、その前に藤井七段は棋聖戦五番勝負の第三局があります。その結果次第では王位戦第二局はタイトルホルダー同士の対決になってるかもしれません。さあ一体どうなるのか、楽しみですね。

 

 

以下めし画像。

 

おやつ1-1

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めし1

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おやつ1-2

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おやつ2-1

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めし2

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おやつ2-2

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【将棋】強く上がった大三元、ドリームはまたもナイトメア。【第3回abemaTVトーナメントD3】

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将棋界が大きくザワザワしている中、いよいよ予選リーグ最終節となった第3回abemaTVトーナメント。4月から放送が始まりましたが、今回でついに予選突破の8チームが出そろいます。

 

この予選リーグが放送されてきた4月から6月は、コロナによる自粛期間と完全に重なります。ただ収録自体はコロナ前の2月~3月にかけて全て終えていたということで、放送も中断することなく毎週行われてきました。おかげで多くの将棋ファンが将棋観戦に飢えることなく、この期間を乗り越えられたと思います。ABEMAさんに改めて感謝したいですね。

abema.tv

 

さてDリーグ最終戦アベマドリームチームチーム広瀬<大三元の対戦です。

Dリーグは前節でチーム永瀬が予選突破を決めていて、残りの1枠をこの両者で争う形になっていますが、現状チーム広瀬がプラス2ポイントなのに対し、ドリームチームはマイナス5ポイント。直接対決とはいえ7ポイント差は大きいですが、果たしてドリームチームの驚異の巻き返しが見られるでしょうか。

 

オーダーはこうなりました。

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先鋒戦

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先鋒戦は三枚堂達也七段対青嶋未来六段

1局目は激しい攻防を制して三枚堂七段の勝ち。

2局目は対抗型からの激しい叩き合いを制して青嶋六段の勝ち。

3局目もギリギリの攻め合いから青嶋六段が抜け出して詰まして勝ち。

青嶋六段の2勝、三枚堂七段の1勝となりました。

この時点でチーム広瀬の予選突破が決定。

 

中堅戦

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中堅戦は羽生善治九段対黒沢怜生五段。

1局目はゆっくりとした出だしから黒沢五段が押し切って勝ち。

2局目は羽生九段が優勢から決めにいくも決めきれず、黒沢五段の粘り勝ち。

黒沢五段の2勝。羽生九段は秒に追われ痛いミスがありました。

 

大将戦

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大将戦は鈴木大介九段対広瀬章人八段。

1局目は広瀬八段が安定感を見せて冷静に勝ち。

2局目は広瀬有利から盛り返されたかに見えましたが、差し切って勝ち。

広瀬八段の2連勝となりました。

 

Dリーグ成績表

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7ポイントまで伸ばしたチーム広瀬が1位での予選通過。一方アベマドリームチームは予選全チームでワーストのマイナス10ポイントという厳しい結果となりました。

 

感想

巻き返しはなりませんでしたね。そして大三元、強かったです。

特に広瀬八段は予選で唯一無傷の4連勝。予選リーグMVPでしょう。今回も鈴木九段相手に安定した指し回しを見せていました。初参加とは思えないです。

黒沢五段も過去にボコられたという羽生九段に2連勝してトラウマ(?)を解消できたようですし、青嶋六段も強敵の三枚堂七段を相手に熱戦を制して力を見せました。

解説の橋本八段がチーム広瀬を優勝候補として挙げたのも頷ける戦いぶりだったと思います。

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一方のアベマドリームチームは厳しい結果になりましたね。前節と同じくベテラン2人が連敗となってしまいました。

羽生九段はやはりルールに順応していない感じがありましたかね。相手の黒沢五段もゆっくり指していましたが、それに合わせてゆっくり指していたことで両者時間が無くなり、若手を相手に難しい状況を作ってしまいました。2局目は秒読みに追われて詰みを逃しましたし、前節から総じて時間切迫で沈んでしまった感じです。局後非常に悔やんでいたのが印象的でした。

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鈴木九段はもっと時間の短い超超早指し戦なら力を出せそうな気がしました。フィッシャー5分だと、短いとはいえタイムマネジメントの上手い相手には余裕を持たれてしまいますね。これも慣れの問題かもしれませんが。

三枚堂七段はその点上手く戦えていたと思いますが、熱戦を繰り広げたものの勝ち越すには至りませんでしたね。青嶋六段に上手く抜け出されてしまいました。

 

これでDリーグからはチーム広瀬<大三元>とチーム永瀬<バナナ>が決勝へ。この2チームは優勝候補と言えるかもしれません。

 

決勝トーナメントへ

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これですべての予選通過チームが出揃い、次回からは決勝トーナメントとなります。

決勝トーナメントはなんと生放送

対局者だけでなく、視聴者も、そしてスタッフさんも、かなりの緊張感をもって臨むことになりそうですね。指が震えますね。

 

ちなみに決勝に進出したのは

・チーム久保<振り飛車

・チーム三浦<ミレニアム>

・チーム渡辺<所司一門>

・チーム天彦<まったり>

・チーム康光<レジェンド>

・チーム糸谷<フォーカス+1>

・チーム永瀬<バナナ>

・チーム広瀬<大三元

以上の8チームです。

並べてみるとこの3か月の戦いがいろいろ思い返されます。

 

決勝の組み合わせは発表されていませんが、次回はチーム康光<レジェンド>vsチーム久保<振り飛車ということだけ予告されています。

ツイッターをやっている両チームですが、負けたら終わってしまうんでしょうか。それは寂しいですが・・・。

チーム康光twitter / チーム久保twitter

 

生決戦は7月4日土曜日です。楽しみですね。

 

(※追記)

決勝トーナメントの組み合わせと放送日が発表されてました。

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abema.tv


 

 

【将棋】和装凛々しい藤井聡太七段、魔王もAIも圧倒しタイトル王手。【棋聖戦五番勝負】

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藤井聡太七段が渡辺明棋聖に挑戦している棋聖戦五番勝負。第一局は藤井七段が勝ち、第二局を迎えました。

対局前から注目されていたのは藤井七段の和服。タイトル戦では初めて着用することになります。

8時42分に入室した藤井七段。紺の和服に薄手の黒の羽織で登場です。

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似合ってますね。凛々しいです。濃い色なので引き締まって見えます。若々しいです。高校生なので当たり前ですが。

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この和服は昨年のJT杯でも着ていたものですが、イベント的なJT杯とは違ってタイトル戦で見るとより凛々しく見えますね。重みのある舞台だと引き締まった感じがします。

 

さて将棋の方ですが、すごいことになりました。

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先手の渡辺棋聖が矢倉を選択。前局は藤井七段が矢倉をぶつけましたが、お返しのような形になりました。

そこから渡辺棋聖が急戦で仕掛けていきますが、後手の藤井七段が金を上がっていく積極策で対抗。やってみたかったという研究手らしいですが、リスクの高そうな新手を大事なタイトル戦で出してくるのは勇者ですね。

その策が良かったのかどうかはわかりませんが、渡辺棋聖も相手の研究を感じたのか慎重な対応になった印象です。

 

中盤、藤井七段は持ち時間を大量投入。もはやパターンになってきました。

そして58手目の△3一銀という手がすごかったらしいです。

 雑魚観る将の私には平凡な受けの手にしか見えませんでしたが、それだけにプロの方々も驚いたようでしたし、最初はAIでも悪手のような判定でした。abemaのコメントでも「やらかしたー」とかいう奴がたぶん湧いてました。しかし深く深く読ませてみると最善手だったと。

またAI超えたやんこの子・・・

渡辺棋聖もこの手を見て「ええやん」から「あかんがな」になっていったらしいです。

棋聖戦第2局。 - 渡辺明ブログ

 

そこから徐々に藤井七段が優位を築いていき、粘ることも許さないまま勝ち切り。

チャンスを与えることなく、王手をかけさせることもなく。

渡辺三冠に対して完勝をキメてしまいました

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渡辺棋聖は局後、「いつ不利になったのか分からないまま、気が付いたら敗勢、という将棋でした」と振り返っておられます。原因不明の完敗。これはダメージが大きそうですね・・・。

 

これで五番勝負は藤井七段の二連勝。いよいよタイトル獲得まであと1つとなりました。

なんかもう取っちゃう流れなのではないでしょうか。「藤井七段」と呼ばれるのもあと少しかもしれません。もしかしたら次に段位で呼ばれるのは何十年後、ということになるのかも・・・。

そんなことを思わされるような圧勝劇でした。

 

次局は7月9日。ここで歴史が生まれるのか。渡辺棋聖が気を持ち直して逆転防衛の流れを作れるのか。大一番ですね。

 

 

将棋めし。

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渡辺棋聖、立会人の屋敷九段、記録係くんが食べたうな重

 

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藤井七段の食べた海老天重。えびてんぎっしり。

 

 

abema.tv

【将棋】瑞々しさを取り戻したバナナ、ドリームはナイトメアに。【第3回abemaTVトーナメントD2】

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予選リーグもあと2戦と佳境を迎えている第3回abemaTVトーナメント。Dリーグ2戦目はチーム永瀬<バナナ>アベマドリームチームの対戦です。

 なおこの放送日には叡王戦が行われていてそちらに集中していたため、こちらはabemaビデオで後から視聴。とうとう観る将もダブルブッキング状態になってしまいました。見るものが多いのはありがたいけど大変です。

↓でも後から見れるのはいいですね。

abema.tv

 

さて全チーム中最後の登場となったアベマドリームチームは、藤田晋社長が影のボスとなり羽生善治九段が率いる特別チーム。ドラフトは藤田社長が行い、棋士ながら麻雀の最強位タイトルを獲得した鈴木大介九段と、若手強豪の三枚堂達也七段を指名しました。

チーム映像ではどうぶつカフェでどうぶつ将棋をするという企画で、羽生先生たちがウサギと戯れている映像が見られます

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ウサギを撫でながら考慮して、指したらまたウサギを撫でる羽生先生。まるで棋士が扇子を使うようにウサギを使ってます。至高の萌え&癒しなのでぜひ見ていただきたい。

こちらには羽生九段もふもふオフショットなるものが。

shogi-abema.amebaownd.com

 

アベマドリームチームはチーム戦力としては未知数。三枚堂七段は若くて経験もあるので確実な戦力ですが、羽生九段はフィッシャー将棋の提唱者とはいえ、第1回に出場経験があるものの慣れるほどは指していないと思われるので、このルールで若手に対抗できるかどうか。鈴木九段は早指しに強いらしいですがフィッシャー経験がないのでどう出るか。ベテラン二人がカギになりそうです。

 

一方チーム永瀬は初戦でまさかの苦戦。最大戦力とみられた藤井七段が広瀬八段に連敗を喫したこともあり、現状マイナス2ポイント。巻き返しが必要になります。

実力を発揮できればチーム永瀬が有利だと思いますが、流れを掴めなければまさかの予選敗退もあるかもしれません。どうなるでしょうか。

 

こちらがオーダーです。

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先鋒戦

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先鋒戦は増田康宏六段対鈴木大介九段

1局目は増田六段が穴熊を生かして攻め勝ち。

2局目は増田六段が巧みな仕掛けでリードを広げて勝ち。

増田六段が2連勝。いい流れを作りました。

 

中堅戦

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中堅戦は永瀬拓矢二冠対三枚堂達也七段

1局目は攻守が目まぐるしく変わる熱戦を永瀬二冠が制して勝ち。

2局目は三枚堂七段が永瀬二冠の攻めを受け切って跳ね返して勝ち。

3局目永瀬二冠が三枚堂七段の攻めをしのぎきって勝ち。

永瀬二冠の2勝、三枚堂七段の1勝となりました。

 

大将戦

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大将戦は藤井聡太七段対羽生善治九段。仕組まれたような夢の対決ですが、ちゃんとオーダーはそれぞれ考えて決めたらしいです。

1局目は詰むや詰まざるやの局面から羽生九段が詰ましにいくも詰まず、藤井七段が勝ち。

2局目も最後は詰むかどうかになりましたが、羽生九段が詰ましきれず、藤井七段の勝ちとなりました。

結果は藤井七段の2連勝。前節の負けを取り返しました。

 

成績表

トータルでチーム永瀬はプラス3ポイントまで伸ばし、2位以上が確定。チーム永瀬の予選突破が決まりました。アベマドリームチームは次節でチーム広瀬に対して4ポイント以上が必要となる厳しい状況です。

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感想と展望

チーム永瀬が2戦目で本領を発揮したという感じでしょうか。あるいはドリームチームが初戦で不慣れな部分が出てしまったとも言えそうです。やはりこのルールは慣れの部分が大きい。経験値と事前練習の有無がモノを言いますね。

本命と言われたチーム永瀬が予選を突破したので、各方面も一安心してるのではないでしょうか。藤井七段も勝ちましたしね。

羽生九段は連敗となりましたが、読み切る時間も無い中で最後は詰ましに行く姿勢はさすがでした。ただ、これは谷川先生もそうでしたが、このルールでは無理しないほうがよさそうですね。有利ならば安全勝ちを目指し、不利ならば粘ってミス待ちをするのが好手に思えます。これも慣れの部分でしょうか。

そういう意味ではドリームチームも次節はもっとやれると思います。条件は厳しいですが、<invictus>がinvictusだったように、ドリームもドリームできるかもしれません。よくわかりませんが。

 

次節は土曜の放送に戻り、Dグループ最終節、アベマドリームチーム対チーム広瀬<大三元。これですべての予選突破チームが出そろうことになります。ドリームチームの奮闘が見れるでしょうか。次回も楽しみです。

 

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【将棋】藤井聡太七段Wタイトル戦へ。天才少年は苦労人おじさんに挑む。【王位戦】

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初めてのタイトル挑戦を記録とともに達成し、タイトル初勝利も果たしたばかりの藤井聡太七段ですが、それからわずか2週間、挑戦タイトルをもう一つ増やすことになりました。王位戦に挑戦です。

 

棋聖戦に続き挑決を争ったのは永瀬拓矢二冠。永瀬二冠にとっては今度こそ負けられないという思いだったでしょう。挑決まできて負けるって相当辛いと思いますし、それが二つ続くとなると・・・。

しかも永瀬二冠、2日前に伊豆で叡王戦の激闘を繰り広げたばかり千日手で指しなおしとなり夜の11時過ぎまで戦って、そして敗れています。

そんな体力的にも精神的にも厳しいであろう状況でしたが、永瀬二冠は質の高い将棋を藤井七段と繰り広げました。

 

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振り駒で先手となった藤井七段が得意戦型の角換わり、しかしいつもの腰掛け銀ではなく早繰り銀で仕掛けました。早繰り銀は叡王戦でも指されたように、どちらかといえば永瀬二冠の持ちネタ。棋聖戦第一局で渡辺棋聖に矢倉をぶつけたように、藤井七段は相手のフィールドで戦うことを厭いませんね。相手の予想を外す意味もあるのでしょうか。

形勢互角の範囲で推移していく中、いつものように藤井七段は時間を惜しみなく投入。難解な中盤を過ぎ終盤に入ったところで秒読みになりますが、間違えることなく指し続けます。そして機をとらえて抜け出し、寄せきりました。

 

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これで藤井七段は棋聖戦に続き王位戦に挑戦が決定木村一基王位との七番勝負に進むことになりました。永瀬二冠はまたも無念。叡王戦の防衛に集中することになりそうです。

 

王位戦を戦う木村王位は、偶然にもこの日誕生日を迎えたばかりの47歳。過去何度もタイトルに挑戦しながらずっと届かず、昨年ついに悲願の初タイトルとして王位を獲得し、「最年長初タイトル獲得」の記録を大幅に更新したおじさんです。

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いやーこの時は感動的でしたね。涙のインタビューは印象的でした。誰よりもこの王位のタイトルに愛着を持っているのではないでしょうか。

その王位を17歳の天才少年が奪いに来ます。すごい構図になりますね。天才vs苦労人。木村王位に肩入れする人も多そうです。

 

王位戦七番勝負は7月1日・2日に第一局が行われます。こんなにすぐ始まるとは思ってませんでした。藤井七段は引き続き過密日程が続くことになりますね・・・。

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次は中1日で持ち時間各6時間の順位戦。しかも相手が佐々木勇気七段となれば、開幕局からいきなり昇級戦線に大きくかかわる重要対局になるでしょう。

体調に気を付けて乗り切ってほしいですね。ずっと言ってますが。

観る将的にも過密日程は続きそうです。

 

abema.tv

 

 おまけ

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将棋めし。うまそう。

 

 

【将棋】男たちの夜の千日手。激闘の叡王戦第一局と生きていたニコ生。【叡王戦】

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名人戦と同じくコロナの影響で開催が2か月延期されていた叡王戦がやっと開幕し、21日に第一局が行われました。初防衛を目指す永瀬拓矢叡王豊島将之竜王名人が挑戦する七番勝負です。

 

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名人戦との並行で開催されていることもあり、豊島竜王名人は超タイトスケジュール。前々日(19日)に山形県の天童で二日制の名人戦を戦い終え、前日(20日)に天童から直接伊豆まで移動して対局当日(21日)を迎えています。一方の永瀬叡王竜王戦(18日)から中2日。コンディションや体力が勝負を分けるかもしれません。

 

叡王戦ということで、今局は当然ニコニコ生放送での生中継

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この感じ。もういつ以来かわからないくらい久しぶりのニコ生中継。ニコ生お前生きとったんか・・・。

バーチャル大盤解説として別枠でこんな放送も。

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ニュース番組かな?

 

ニコ生らしい悪ノリ感も健在で、解説者のテンションも高め。

このところABEMAさんばかりで、ニコ生は終わったかとも言われていましたが、やはり楽しいですね。いまだ経営的に不安な状況も伝えられるニコニコですが、ニコ生将棋はこれからもあり続けてほしいと思います。

 

 

さて将棋は大熱戦となりました。

 永瀬叡王の先手で角換わり相早繰り銀。開始早々から超スピードで指し手が進み、わずか30分で50手以上ほとんど止まらずに進行。研究の深い両者にとっては「ここまではまあこうなるよね」って感じなんでしょう。

そこからはやっと時間を使いだし、AI的にはしばらくは互角の範囲で推移していましたが、やがて永瀬叡王が少しづつリードを広げていきました。

しかしそのまま押し切るかとも思われた午後8時ごろになって、にわかにザワつき始めることに。苦しい状況の後手の豊島竜王名人が千日手を狙うような動きを見せたのに対し、優勢と思われていた永瀬叡王が打開することなく追随し、なんと千日手が成立

これには解説席も視聴者も大騒ぎ。

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千日手を厭わないことで有名な永瀬叡王ですが、先手でしかもリードしているこの状況でとは驚きでした。ただ永瀬叡王は形勢があまり良くないと見ていたようですね。

完全に夜となった20時50分に指しなおし局が開始。指し直し局では永瀬叡王千日手に持ち込もうという局面がありましたが、先手の豊島竜王名人が打開。その後次第にペースを握って優位に進め、そのまま最後は鮮やかに決めきりました。

七番勝負は挑戦者の豊島竜王名人が先勝。永瀬叡王は勝てた将棋を落としてしまったかもしれません。次局での巻き返しはなるでしょうか。楽しみです。

 

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こんな激闘を戦った両者ですが、なんと中1日でまた対局があります(23日)。

豊島竜王名人は関西で糸谷八段との王座戦本戦1回戦。そして永瀬叡王は東京で藤井聡太七段との王位戦挑戦者決定戦という大一番です。棋聖戦に続きこの両者の挑決、藤井七段にとってはダブルタイトル挑戦がかかる対局ということで、また大いに注目されることになるでしょう。永瀬二冠にとっては今度は負けられないところです。

 体調を整えて乗り切っていただきたいです。

 

 

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↑バーチャル解説の中村七段と貞升女流の混浴の様子。なんやこれ。

 

 

ch.nicovideo.jp

【将棋】和服の師匠とじっくりねっとり。杉本八段vs藤井七段、二度目の師弟戦。【竜王戦】

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タイトル戦をはじめ重要対局が目白押しの6月ですが、今日は竜王戦ランキング戦3組決勝。杉本昌隆八段vs藤井聡太七段師弟対決です。

本戦出場者が決まる対局という意味では、竜王戦全体から見れば「そこそこ重要」くらいの位置の対局ですが、対局者がこの師弟となれば、いまや将棋界のみならず世間一般の興味をも引くところでしょう。

この二人の師弟対決は2回目。2年前の前回は千日手指しなおしの末、藤井七段が勝っています。師匠のリベンジなるかというところ。

 

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決勝に出ている時点で両者とも既に来期2組への昇級は決まっていますが、藤井七段にとっては、プロ入り以来4期連続での竜王戦ランキング戦優勝が懸かっています。つまりここまで各組予選では負けなし。6組、5組、4組とすべて優勝昇級してきています。あらためてすげえな。

一方の杉本八段にとっては、久しぶりの本戦出場がかかっています。竜王戦とは比較的相性が良くずっと上の方の組にいる杉本先生ですが、本戦に進めば2006年以来となります。さてどうなるでしょうか。

 

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やはりというか杉本八段、和服での登場となりました。気合が見えます。

あるいは棋聖戦に挑戦中で次戦から和服着用が見込まれる藤井七段に、和服での所作を見せようという意味もあるんでしょうか。

 

将棋はお互い序盤からじっくりと時間を使ったスローペースな展開がずっと続く展開。残り一時間になってやっと序盤から中盤というような進行でした。

しかし残り30分くらいから、一気に最終盤のような展開に突入。杉本八段の一手のスキに藤井七段が楔を打ち込み、それまでのゆっくりした展開が嘘のように一気にリードを押し広げました。そこからは間違えることなく藤井七段が勝ち切り。

藤井七段が3組優勝で本選進出、4期連続の各組ランキング戦優勝となりました。

 

なかなか駒がぶつかるところまで行かず、いつ終わるんだろうという進行でしたが、最後は一気でした。展開上杉本八段にはチャンスの場面が訪れませんでしたが、じりじりとした展開の中で最後まで隙をみせなかった藤井七段が強かったということなんでしょう。

終局後のインタビューで杉本八段が「自分の目標は終わってしまったが、新しい楽しみもできた」ということを言われてました。ますます力をつけた藤井七段が本戦でどこまでいけるのか、挑戦もあるのか、楽しみにしたいと思います。

 

しかしながらここから藤井七段はかなりの過密日程

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(↑アベマ将棋チャンネルより引用)


ダブルタイトル挑戦がかかる永瀬二冠との王位戦挑決が中2日の23日、そして中1日で佐々木勇気七段との順位戦開幕戦が25日、さらに中2日で渡辺三冠との棋聖戦第2局があります。

重要な対局ばかり、強い相手ばかり。今月上旬もそうでしたが、これが強者の宿命なんでしょう。なんとか乗り切ってほしいと思います。

 

そして明日日曜は叡王戦、そしてabemaTVトーナメント。観る将も過密日程です。

 

【将棋】永世名人も参戦!プロ棋士・女流棋士のYouTubeチャンネルまとめ【YouTuber】

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このところコロナの影響もあって各界でyoutubeのチャンネルを持ち始める人が増えていますが、将棋界でも例外ではありません。プロ棋士・女流棋士や奨励会員、元奨励会員など多くの将棋関係者がyoutubeのチャンネルを持って活動するようになってきました。

そしてついには永世名人資格者が参入することになりました。

 

 まだ告知動画1つしか上がってないのに、すでにチャンネル登録者は1万人近く、告知動画も3万再生までいってます。期待の高さがうかがえます。

 

ここでyoutubeで活動を始めた棋士・女流棋士のチャンネルをまとめてみます。漏れがあったらごめんなさい。

チャンネル開設の早い順、登録者数は2020年6月17日現在です。

 

 

 

折田翔吾四段 「アゲアゲ将棋実況

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2016年4月開始。チャンネル登録者数4.23万。

奨励会退会後にアゲアゲさんとしてyoutubeを開始、将棋ウォーズ実況動画などを投稿しつづける。のちに編入試験を経てプロになったのは有名な話。

 

伊藤真吾五段 「イトシンTV

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2019年3月開始。チャンネル登録者数2.76万。

プロ棋士youtuberの草分け的存在。将棋ウォーズをメインに最近はライブ配信も行っている。奥様も「嫁P」として登場する。

 

香川愛生女流三段 「女流棋士・香川愛生チャンネル

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2019年4月開始。チャンネル登録者数7.91万。

オタクな女流棋士として多方面で活躍されている番長香川女流のチャンネル。趣味の幅の広さを生かして様々な動画を投稿。踊ってみた動画は38万再生を記録。youtuberっぽい。

 

村中秀史七段 「【プロ棋士】むらチャンネル

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2019年7月開始。チャンネル登録者数3.3万。

人狼プレイヤーとしても知られ諸悪との異名を持つ村中七段のチャンネル。将棋ウォーズ動画の他、給料のことなど質問に答えたり中田功八段と王手将棋をしたりしている。

 

石田和雄九段 「石田九段一門将棋チャネル

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2019年10月開始。チャンネル登録者数0.7万。

高見七段や佐々木勇気七段らの師匠としても有名な、現在73歳の石田和雄九段が開設したチャンネル。お若い。現在は一門チャンネルとして弟子たちも多く出演している。

 

山本真也六段 「『極』将棋道

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2020年3月開始。チャンネル登録者数0.1万。

将棋ウォーズ実況中心。中級以上向けの実践的で勉強になる解説。

 

棋士会 「日本将棋連盟棋士会

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2020年4月開始。チャンネル登録者数0.9万。

将棋連盟の棋士会が始めたチャンネル。zoomによるライブ配信と、ややマニアックな大盤解説動画がある。いおモナカチャレンジはここから生まれた。なお女流棋士会チャンネルもある。

 

藤森哲也五段 「将棋放浪記

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2020年5月開始。チャンネル登録者数1.8万。

親しみやすい解説が人気の藤森五段のチャンネル。将棋ウォーズを楽しくわかりやすく解説しながら実況してくれる。

 

戸辺誠七段 「戸辺チャンネル

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2020年5月開始。チャンネル登録者数0.4万。

トークと解説に定評のある戸辺七段のチャンネル。相方の将棋を実況解説し指導するスタイル。

 

山口恵梨子女流二段 「女流棋士 山口恵梨子ちゃんねる

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2020年5月開始。チャンネル登録者数1.4万。

聞き手・MCとしても大人気の山口えりりん氏のチャンネル。多趣味な方なので香川女流のようにyoutuberっぽくやるかと思いきや、すごくちゃんとした初心者向け将棋講座を開始し、マジメな一面を見せる。

 

室谷由紀女流三段・鈴木環那女流二段 「むろかんなチャンネル

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2020年6月開始。チャンネル登録者数0.1万。

むろやん女流とかんな女流の共同チャンネル。まだ紹介動画のみ。ライブ配信を予定。

 

森内俊之九段 「森内俊之の森内チャンネル

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2020年6月開始。チャンネル登録者数1.0万。

そして冒頭にも紹介しましたが、ついに永世名人が参入です。まだ告知動画1つのみですが、森内先生はクイズやバックギャモンなどいろいろな勝負事に精通している方なので、将棋のこと以外にもいろんな展開が考えられると思います。

 

※追記(06/30)

中村太地七段 「中村太地 将棋はじめチャンネル

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2020年6月開始。チャンネル登録者数0.2万。(6/30現在)

東の真面目イケメン王子、中村太地七段がアマ強豪の鈴木肇氏と始めたチャンネル。

将棋の話のほかバラエティ的な企画も。

 

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プロ棋士のみなさんにとっては、対局だけでなく将棋の普及も大事なお仕事となっています。SNSなんかもそうですがyoutubeも、将棋ファンやこれからファンになる人に向けて、将棋のことや棋士のことをPRする場になりますからね。

みなさんのyoutubeでのご活躍に期待したいと思います。

 

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【将棋】大エース藤井七段まさかの完封負けでバナナ傷みかけ。【第3回abemaTVトーナメントD1】

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前日に王位戦の対局中継が入ったことで、今週は日曜日の放送となった第3回abemaTVトーナメント。今回からDリーグの戦いです。

 

リーグ初戦はチーム永瀬<バナナ>チーム広瀬<大三元の対戦。

 

チーム永瀬は戦前から優勝候補筆頭という評判のチーム。負けない将棋の強豪永瀬拓矢二冠をリーダーに、大会2連覇のエース藤井聡太七段と若手強豪の増田康宏六段と、実績十分な上に全員がabemaTVトーナメントの経験もあるメンバーです。

abema.tv

 

一方のチーム広瀬は麻雀つながりのチーム。麻雀経験は豊富な一方、全員がabemaTVトーナメントは未経験。しかしながらトップ棋士広瀬章人八段をリーダーに、黒沢怜央五段青嶋未来五段も若手の強豪。フィッシャールールに対応できれば十分上位に行ける力があります。

abema.tv

 

戦前の予想としてはやはりチーム永瀬が有利となりそうですが、フィッシャーなのでやってみないとわからない部分もあるでしょう。事前の準備や練習をしっかりしていたり、フィッシャールールが合うようであれば、チーム広瀬にもチャンスはあるはずです。

 

オーダーはこうなりました。

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先鋒戦

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先鋒戦は増田康宏六段対黒沢怜央五段

1局目は黒沢五段が終盤の競り合いを制して勝ち。

2局目は増田六段が飛車交換からリードをじっくり押し広げて勝ち。

3局目は黒沢五段がリードを広げて押し切って勝ち。

黒沢五段の2勝、増田六段の1勝となりました。

 

中堅戦

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中堅戦は藤井聡太七段対広瀬章人八段。エースとリーダーの注目対局です。

1局目は広瀬八段が落ち着いた指し回しで時間的なリードを生かして勝ち切り。

2局目はお互いに手待ちを繰り返す異様な展開から、藤井七段の攻めを広瀬八段が上手く切り返して勝ちに繋げました。

広瀬八段が2連勝。2大会連覇の藤井七段を跳ね飛ばして、リーダーの貫禄を見せました。

 

大将戦

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大将戦は永瀬拓矢二冠対青嶋未来五段

1局目は青嶋五段の攻めが一気に突き刺さり勝勢。そこから永瀬二冠も粘りを試みますが効果なく、青嶋五段の勝ち。

2局目は相穴熊のじっくりした展開から永瀬二冠が押し勝ちました。

3局目もじっくりとした展開でしたが、最後に永瀬二冠が青嶋五段の穴熊を崩し切って勝ちました。

永瀬二冠の2勝、青嶋五段の1勝となりました。

 

成績表

トータルでチーム広瀬がプラス2ポイント、チーム永瀬がマイナス2ポイントで初戦を終えました。

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感想と展望

意外な結果でしたね。特に藤井七段が2連敗するとは思いませんでした。まあ相手が広瀬八段なので簡単に勝てるはずはないのですが。広瀬さんが上手かったでしょうか。

ただ藤井七段もそうでしたが、フィッシャー経験があるチーム永瀬の方にうっかりが多く発生し、少し対応に苦慮しているような感じがありました。一方のチーム広瀬は全員初参加でしたが、広瀬リーダーをはじめとして、落ち着いて上手くできていた印象です。

あとは控室で藤井七段がよく笑っていたのが印象的でしたね。藤井君の笑顔はみんなを幸せにします。藤井君はみんなの太陽(意訳)、みたいなことを山口えりりん氏が口走ってましたが、まあわからなくもない。連敗してもすぐに気分を切り替えているようだったので、そういうところは羽生先生に通じるものがあるかもしれないとも感じました。

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さて次週はチーム永瀬対abemaドリームチーム

次回予告でオーダーをあらかじめネタバレしてきました。

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大将戦が藤井七段対羽生九段

作為めいたものを感じるのは気のせいでしょうか。あんま好きじゃないんですけどねそういうの。いや見たいことは見たいし作為かどうかもわからないけど。

 

いずれにせよ現状マイナス2ポイントのチーム永瀬は勝たなくてはいけませんし、藤井七段もこの負けを取り返さなくてなりません。どんな対戦になるでしょうか。

来週も日曜日の放送。楽しみです。

 

abema.tv

 

 

【将棋】2か月遅れの名人戦、渡辺三冠が先勝。忍者マスクと網戸の勝利(?)【名人戦七番勝負】

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コロナの影響で延期を余儀なくされていた名人戦七番勝負第1局が、6月10・11日の二日間にわたって行われ、挑戦者の渡辺明三冠が豊島将之名人に先勝しました。

 

対局場となったのは、三重県鳥羽市にある戸田家という大きな旅館。同時進行の棋聖戦はコロナ対応を理由にほぼ将棋会館での対局ですが、さすが名人戦は違います。

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そしてこの戸田家さん、渡辺三冠が虫嫌いという情報を事前に聞きつけて、対局室の窓に網戸を用意するというナイスなおもてなしっぷりを見せつけました。いま旅館はどこも大変ですが、そんな状況で素晴らしい心遣いです。

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将棋「名人戦」会場に選ばれた老舗旅館…“虫嫌い”渡辺三冠へ配慮のおもてなし(メ〜テレ(名古屋テレビ)) - Yahoo!ニュース

 

ただ渡辺三冠は2日前の8日に藤井聡太七段との棋聖戦第1局を戦ったばかりで、次の日に三重県に移動してその次の日から二日間の対局という休みなしの超ハードなスケジュール。一方の豊島名人は3月末以来対局がなく、超久しぶりの対局がいきなり二日制各9時間というぶっつけ大本番。ある意味お互いにコンディション面に不安を抱えた状態で、名人戦の開幕を迎えることとなりました。

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でも将棋の内容はそんなことを全く感じさせない内容となりました。

 

一日目は振り駒で先手となった豊島名人が角換わりを選択、相腰掛銀に。渡辺三冠の趣向の手に豊島名人が長考する場面があり、2時間近い差がついたところで渡辺三冠が封じて終了。まだ形勢に差は無いようでした。

 

二日目は開始早々から豊島名人がいきなり千日手を志向してザワつきましたが、渡辺三冠は後手番ながら応じることなく打開。その後渡辺三冠がやや指しやすいかと言われながらもAI的にはほとんど差がつかず、終局の1時間前でも50:50という表示が現れるほどの大熱戦に。最後は時間の無くなった豊島名人が攻めかかるも実を結ばず、渡辺三冠が見事に詰まして勝ちとなりました。

 

これで渡辺三冠が初の名人獲得に向けまず1勝、一週間後に山形で第二局が行われます。

 

さてそんなアツい対局だったわけですが、その中でひときわ目を引いたのが、渡辺三冠が途中から身に着け始めた変わったマスク

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これが登場すると視聴者は大盛り上がりで、忍者だとか時代劇だとかナベノマスクだとかいろいろ言われてました。

実際は「バフ(Buff)」と呼ばれるランニング用のマスクで、呼吸がしやすくてメガネが曇りにくいらしいです。

さすが渡辺先生、withコロナ時代の最善手を求めて研究に余念がない。これが今後将棋界の定跡となっていくのか見ものですね。

 

まだはじまったばかりの名人戦七番勝負、今後も楽しみです。

 

【将棋】初挑戦の藤井聡太七段、大熱戦を制して渡辺明棋聖に先勝。【ヒューリック杯棋聖戦】

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4日前に挑戦者が藤井聡太七段に決定したばかりですが、ヒューリック杯棋聖戦の五番勝負、渡辺明棋聖vs藤井聡太七段が早くも開幕となりました。

そして無事に対局が開催されたことで、本日をもって藤井七段の最年少タイトル挑戦の記録も無事に達成となりました。

実はちょっとだけ心配してたんですよね。この状況なので対局者のどちらかが発熱でもしたら対局が延期になりかねなかったのではと。その場合は記録達成とはならないのではないかと。まあ杞憂でした。

 

 

将棋会館

コロナの影響で対局場所はいつもの東京千駄ヶ谷将棋会館。そして藤井七段はスーツ姿で登場。いつものやつやん!って感じですが、初のタイトル戦となる藤井七段にとってはプラスの要素だったかもしれません。

地方の旅館への遠征対局で和服着用となると随分勝手が違ったでしょうし、タイトル戦常連の渡辺三冠との経験差がすごいですからね。

終局後の会見では、和服については「師匠にもらったのがあるけど勝手がわからなかったので」ということでした。挑戦決定から間がなかったですからね。着慣れないとトイレの仕方もわからないって言うし。仕方ないでしょう。和服姿は第2局からになりそうです。(↓画像はJT杯のときのもの。)




 さて将棋の方ですが、すばらしい大熱戦でした

振り駒で藤井七段が先手となり、得意の角換わりかと思いきや意表の矢倉。序盤から拮抗した状態が長く続く展開でした。

終盤まではチラチラとしか見れませんでしたが、AIの評価もずっと互角もしくは微差の藤井有利で推移。そのまま最終盤の斬り合いに突入し、藤井有利に振れたかというところで渡辺三冠が最後の攻めを決行。猛然と王手をかけ続け、一手逃げ間違えたら即頓死というギリギリの綱渡りを強要しましたが、藤井七段は渡り切って見せました。

最後はきれいに逆王手をかけて渡辺三冠が投了。藤井七段が五番勝負を先勝としました。 

多くのプロたちも感心の声を上げる、すばらしい将棋でした。

 

 

最強の相手に大激戦を制すというインパクトのある勝利を飾ったわけですが、タイトル戦そのものはまだ先手番で1つ勝っただけだとも言えます

後手番となる次の第2局がどうなるか。落とせばイーブンとなり改めて3番勝負になりますが、勝てれば初タイトルに大きく近づきます。

戦略家の渡辺三冠が黙っているはずはないので、先手で何をやってくるかも楽しみです。次局は6月28日です。

 

棋聖戦は少し間が空きますが、その間も二人は過密日程が待っています。中1日で渡辺三冠は名人戦がありますし、同じ日に藤井七段も王座戦があります。そこから中2日で藤井七段はこちらも挑戦がかかった王位戦を戦います。

暑くなってくる中コロナ対策もあって大変ですが、体調に気を付けて乗り切ってほしいですね。

 

 

abema.tv

 

昼食の画像。えらい値段差やな。

 

【将棋】レジェンドと酔象、ベテランたちの生き残り対決を制したのは【第3回abemaTVトーナメントC3】

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藤井聡太七段が棋聖戦への挑戦を決め、将棋界がザワザワしている中ですが、毎週のお楽しみ第3回abemaTVトーナメントはいつも通りに放送です。コロナで将棋を見る楽しみが無かった期間を支えてくれたabemaトナメに、改めて感謝しつつ視聴です。

 

今回は予選Cリーグの最終戦チーム木村<酔象>vsチーム康光<レジェンド>。チーム糸谷が既に予選突破を決めているので、残りの1枠を直接対決で争う形です。

ここまでチーム康光がプラス1ポイント、チーム木村がマイナス2ポイントと3ポイント差。チーム康光やや有利ですが、直接対決なので十分に逆転は可能。

初戦でやられた行方九段と野月八段が調子を掴めるかどうかがカギでしょうか。

 

オーダーはこのようになりました。

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先鋒戦

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先鋒戦は行方尚史九段対森内俊之九段。長く練習将棋をしている間柄らしいです。

1局目は矢倉の出だしから森内九段が棋風通りに受け続けてからの反撃で打ち取って勝ち。

2局目も矢倉から森内九段が抜け出して勝ち。

森内九段の2連勝となりました。行方九段は痛恨の連敗。

 

中堅戦

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中堅戦は野月浩貴八段対佐藤康光九段。康光リーダーが登場です。

1局目は先手の野月八段が相掛かりから競り合いを制して勝ち。

2局目は最終盤叩き合いの大激戦からギリギリ康光九段が機会を拾って詰まして勝ち。

3局目は野月八段が競り合いから押し切って勝ち。

野月八段の2勝、康光九段の1勝となりました。これでチーム康光の決勝進出が決定

 

大将戦

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大将戦は木村一基王位対谷川浩司九段。既に予選敗退は決まっていますが、木村リーダーが意地を見せられるかというところです。

1局目は角換わりから木村王位が上手く指し回して勝ち。

2局目は後手の谷川九段がゴキゲン中飛車繰り出しましたが、こちらも木村王位が上手く指し回して押し切りました。

木村王位がリーダーの意地を見せ2連勝となりました。

 

 リーグ結果

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これで予選Cリーグが終了、チーム糸谷とチーム康光が決勝進出。チーム木村は惜しくも敗退となりました。終わってみれば僅差でしたね。

 

感想と展望

森内先生と木村先生の強さが際立ちましたね。木村先生はまあ現王位ですしフィッシャーでの実績もあるので強いのはわかりますが、森内先生の前節からの安定した強さには驚きです。まあレジェンドにそう言うのは失礼かもしれませんが、浅い観る将の私からすれば、森内先生は既に自ら一線を退いた人という印象だったので。高見・行方という強い相手にいい戦いぶりでした。

行方先生と谷川先生は相手が強かったというのもありますが、良さが出ませんでしたね。谷川先生は決勝もあるので大ベテランの底力を見せてほしいところです。

野月先生はこれまであまり印象が無かった(失礼)のですが、よく手が見えていて早指しに強い人なのかなと感じました。佐藤康光先生は前節ほどのキレはなかったですが、収録の合間に連盟の仕事もしていたらしいので、相当お疲れだったのかもしれません。それでもギリギリの状況で詰みを手繰り寄せたのはお見事でした。

予想以上の混戦となったCリーグ、面白かったです。

 

abema.tv

 

 

さて来週からはDリーグ、まずはチーム永瀬対チーム広瀬の対戦です。例の天才が出てきます。

本命視されているチーム永瀬に対し、チーム広瀬はどこまで対抗できるのか。楽しみですね。

ちなみに来週は土曜日に藤井七段の王位戦の中継があるため、abemaTVトーナメントは日曜日(14日)の放送になります。ちゃんと柔軟に対応してくれるアベマさんありがとう。

今月はありがたいことに観る将大忙しです。既に1週間で3観る将です。棋聖戦はじめ今月はまだまだいろいろ続いていきますが、頑張っていきましょう。

 

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