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【将棋】異例のシリーズついに決着。豊島が連勝で叡王奪取、永瀬は防衛ならず。【叡王戦七番勝負】

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永瀬拓矢叡王に豊島将之竜王が挑戦している第五期叡王戦七番勝負。

いろいろあって長いシリーズとなっていましたが、決着局となる第9局が9月21日に行われ、挑戦者の豊島竜王が勝利叡王位奪取となり、竜王・叡王の二冠となりました

一方永瀬叡王は叡王位を失い、王座の一冠に後退することになりました。

 

 

これまでの経過

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今期叡王戦は異例の展開でした。

まず4月から開催予定だったのが、新型コロナの影響で延期に。シリーズ開始が6月にずれ込むこととなりました。

2か月遅れで開幕した第1局は、いきなりの千日手。夜中になってからの指し直しとなり、まずは豊島竜王が先勝。

次の第2局は、めったに発生しない持将棋。不穏な気配が漂う中、初の一日2局となった第3・4局目では、第3局がまたして持将棋。第4局は深夜に及ぶ232手の大激闘で永瀬叡王の勝ちと、熱戦に次ぐ熱戦となりました。

ただそのあとの5~8局目は通常の進行で、交互に星を取り合い、両者3勝3敗に。

すでにシリーズ最多手数の記録を更新。気づけばもう9月も下旬、既に棋聖戦・名人戦・王位戦が終わり、王座戦が始まり、竜王戦の挑戦者も決まった中、やっと決着の時となりました。

 

 

対局内容

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前局終了後の振り駒により、本日の先手は豊島竜王、持ち時間は6時間。

戦型は角換わり相腰掛銀。昼休前に後手の永瀬叡王から仕掛けますが、そのあとはじっくりとした展開となり、豊島竜王は2時間越えの長考もありました。

夕休前からやや豊島有利となり、夕休後になって永瀬叡王は勝負手気味の手を放ち始めます。

そこからの豊島竜王の対応は見事でした。永瀬叡王の読みにない、気づきにくい手を的確に指すなど、最善の手を連発して優勢に持っていきます。

そのまま豊島竜王が緩むことなく指し続け、111手にて永瀬叡王の投了

挑戦者豊島竜王の叡王奪取となりました。

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感想

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やっと終わったというか、終わってしまったというか、とにかくすごいシリーズでした。

過密日程の中最後まで戦い続けた両者に敬意を表したいです。

終わってみれば、永瀬叡王はシリーズ序盤に勝てそうなところを千日手や持将棋にして逃してしまっていたのが、最後に響いたかもしれませんね。

常に先行し、防衛まであと一歩のところまで行っていただけに残念だと思いますが、素晴らしいファイトを見せてくれましたし、シリーズを盛り上げてくれたと思います。

現在王座戦でも防衛戦を戦っていますが、残った一冠死守のため頑張っていただきたいと思います。

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一方の豊島竜王は不調に苦しみながらも、なんとか離されずにキープしていたことが功を奏し、不調を脱してからの連勝で決め切ったという印象ですね。

途中の8月中旬に名人失陥もありましたが、そこを底として9月にむけて立て直せたのが奪取につながったと思います。8・9局目の連勝は内容も見事でした。

豊島新叡王はこれから羽生九段を迎えての竜王防衛戦も控えてますが、いい流れで臨めるのではないでしょうか。

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来期叡王戦は?

さて大盛り上がりの中閉幕した今期の叡王戦ですが、来期の叡王戦の開催に関しては不透明な状況です。

というのも叡王戦を主催しているドワンゴが経営不振に陥り、現在経営再建のため事業を整理している状況にあるからです。

明日23日にリリースがあるようなので、状況を見守りましょう。

 

 

将棋めし

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おやつ

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【将棋】羽生善治九段が竜王戦挑戦者に。異次元のタイトル100期を賭け、50で挑む大勝負。【竜王戦挑決】

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豊島将之竜王への挑戦権をかけた挑戦者決定戦三番勝負羽生善治九段対丸山忠久九段

両者1勝1敗で迎えた最終三局目が19日行われ、羽生九段が勝利。挑戦者と決定しました

タイトル通算100期を賭けた竜王戦七番勝負は、10月9日から行われます。

 

 

これまでの経過

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羽生九段はランキング戦1組1位により、本戦は超優遇シード。快進撃を続けていた梶浦六段に勝って挑決三番勝負に進出。

丸山九段はランキング戦2組2位で本戦出場。本戦では藤井棋聖(当時)に勝ち、そのままの勢いで佐藤和俊七段、久保九段に勝って三番勝負進出。

 

そして挑戦者決定三番勝負は、1局目が丸山九段が勝ち2局目は羽生九段が勝ち。両者後手番で勝利を挙げて、決着局となる3局目に突入となっていました。

 

 

 対局内容・結果

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振り駒が行われ、羽生九段が先手番に。

後手番の丸山九段が、1局目と同じく得意の一手損角換わりとしました。

中盤で後手の丸山九段が工夫の角打ちを見せますが、うまく働かず羽生九段有利に。

それ以後も羽生九段が上手く指し回して優位を積み重ね、有効な反撃の隙を与えません。

結局そのまま押し切って羽生九段の勝ちとなりました

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これにより今期竜王戦の挑戦者は羽生九段に決定豊島将之竜王との七番勝負に臨みます

奪取に成功すれば、タイトル通算100期という異次元の記録が達成されることになります

 

 

感想

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いやー良かったなーというのが正直な感想ですね。

丸山九段には申し訳ないんですけど。

 やはり無冠になってからあまり結果が出ていなくて、シードも失っているので、年齢的にもタイトルに挑戦するのはもう難しいのかとも思ってました。

タイトル通算99期といえど、現在は無冠でもうすぐ50歳ですからね。ここから1期獲得するのは大変だと思います。

でも今回チャンスを得ました。

今後はさらにチャンスが減っていく可能性が高いので、できれば今回で100期目を獲得したいところでしょうね。

 

とはいえ相手は豊島竜王。

名人位を失って間もないですが、すでに不調は脱した様子。

現在叡王戦も番勝負を戦っていますが、ここでタイトルを逃すと、竜王の一冠のみで防衛戦を迎えることになります。

まだ一度も防衛を果たしていない豊島竜王ですが、絶対に落とせない戦いになるでしょう。

 

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竜王戦七番勝負は10月9・10日から始まります

ちなみに5局目の対局場になっている指宿白水館は、羽生先生が2017年に永世七冠を達成した地であり、記念碑も設けられています。

そこでタイトル100期達成ともなれば、また碑が建ちますね。

そんな展開もあるんでしょうか。番勝負いまから楽しみですね。

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abema.tv

 

 

【将棋】異例第8局は豊島竜王作戦勝ちでタイに。決着は異例第9局へ。【叡王戦七番勝負】

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永瀬拓矢叡王豊島将之竜王が挑戦している叡王戦七番勝負。

ここまで永瀬叡王の3勝2敗(2持将棋)と、王手をかけた状態で第8局を迎えましたが、挑戦者の豊島竜王が勝利

これで両者3勝でタイとなり、次の決着局に臨むこととなりました。

今期叡王戦、まだ終わりません。

 

 

ここまでの経過

今期の叡王戦七番勝負は異例の展開

まず本来は4月に始まるはずだったのが、コロナの影響で6月からの開催に。

これだけでも異例ではありますが、そこから千日手があったり持将棋が2回もあったりで、なかなか決着がつかないまま、もう9月に入ってしまいました。

七番勝負なのに第八局を迎えるという珍事が起きています

 

 

対局会場

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第八局の会場は神奈川県の元湯・陣屋

この3日前に王座戦が行われたばかりの場所で、永瀬叡王は中2日で同じ場所でタイトル戦を指すことになりました。これも異例ですね。

たぶん一旦帰宅したと思いますが、そのまま連泊という手もあったかも?

 

 

対局内容

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先手の豊島竜王が角換わりを選択。

駒組が整わないうちに急戦を仕掛けました。豊島竜王の研究の手順です。

永瀬叡王は対応に苦慮。時間も使わされ、正確な応手を返せず。昼食後にはすでに豊島竜王が優勢を築くことになりました。

そのまま豊島竜王は緩むことなく、夕休後には踏み込んで決めに出て、そのまま勝ち切ることに成功しました。

豊島竜王の、作戦勝ちの快勝譜となりました

 

 

第9局へ

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この結果により両者3勝となり両王手。決着局として異例の第9局目が設定されることとなりました

またこれも異例の措置として、「第8局終了後に第9局の先後を決める振り駒を行い、そこで後手となった方は対局時間を選ぶ」という方法が採られました。

その結果、第9局は豊島竜王の先手。対局時間は永瀬叡王の選択により、6時間と設定されました。

長丁場となった叡王戦、最後も長時間でじっくりと指すようです。

 

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異例尽くしとなった今期の叡王戦七番勝負、どんな結末を迎えるのでしょうか。

最終第9局目は、9月21日に東京将棋会館で行われます。

最後まで見届けましょう。

 

 

将棋めし

昼食

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おやつ

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夕食

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 永瀬叡王の飲み物量がすごいです。

 

 

 

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【将棋】永瀬王座の先勝。穴熊の堅さと大量の飲み物で四間飛車を破る。【王座戦五番勝負】

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永瀬拓矢二冠(叡王・王座)久保利明九段が挑戦することとなった、今期の王座戦五番勝負。

第一局が3日に行われ、177手で永瀬王座の勝ち。五番勝負先勝となりました。

 

対局者

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永瀬王座は前期に当時の斎藤慎太郎王座からストレートで王座を奪取。今回初の王座防衛戦に挑みます。

現在叡王戦でも防衛戦を戦っており、そちらはあと1つ勝てば防衛が決まる状況

本来4月開催の叡王戦が終わらないうちに9月開催の王座戦が始まることなんて有り得ないんですが、今年は叡王戦がコロナで延期された上に、持将棋が2回発生して長引いた結果、重なってくることになりました。

3日後にその叡王戦も控えており、多忙な中で王座戦第1局を迎えています。

 

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今回挑戦者となった久保九段は、タイトル戦実績も豊富な、45歳のベテラン棋士。

挑戦者決定戦では渡辺明現名人を破り、2期前に王将を失冠して以来のタイトル戦登場を決めました。

振り飛車党の代表的存在であり、アマチュアに多い振り飛車党の期待を背負って戦うことになります。

 

 

対局場

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今回の対局場は神奈川県秦野市にある老舗旅館、元湯・陣屋

もう何十年も前から何度もタイトル戦が行われているおなじみの場所で、wikipediaにも記事があるくらいの名所です。過去には将棋史に残る「陣屋事件」なんてのもありました。

近年では「陣屋カレー」が有名になり、対局者も良く注文しています。

今回も両者注文されました。

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対局内容

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振り駒の結果、永瀬王座の先手番に。

駒組みをめぐってはいろいろ駆け引きも行われましたが、後手の久保九段が四間飛車からミレニアムの形に構え、永瀬王座は穴熊に組みました。

午前中から千日手になるかという状況もありましたが、永瀬王座は打開していきました。

そのあとは手数は多いもののじっくりとした展開になり、永瀬王座が少し指しやすいかという状況で、昼休さらには夕休後まで推移。

そのあとは永瀬王座がさらに強化した穴熊を生かし、後手の攻め駒をいなして、後手玉に手を付け始めます。

永瀬王座は最後まで冷静に指し回し、久保九段の受けも効かず、最後は詰みに討ち取りました。

 

 

感想と展望

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永瀬王座がいい内容で先勝しましたね

一方の久保九段は、やや作戦負け気味になってしまったでしょうか。ただ後手番で1つ落としただけなので、まだこれからだと思います。

ただ先手番となる次で勝てないと一気に厳しくなりますね。次戦の作戦に注目です。飛車はどこにいくんでしょうか。

 

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あと対局外で印象に残ったのは、永瀬王座の飲み物の量ですね。

盤側にはお茶と水に加えてスポーツドリンク、そしてブラックコーヒーが大量に準備。

さらに昼食・おやつ・夕食のすべてに「抹茶・アイスコーヒー・グレープフルーツジュース」の3点セットを加えて注文されてました。

全部飲んだらえらいことになりそうな量ですが、盤側のものは最後まであまり減ってなかった気がします。

最近はバナナからコーヒーに切り替えているらしいですが、飲食物の大量投入は相変わらずですね。迫力を感じます。

加藤一二三先生は親近感を感じたそうです。

 

 

さて次戦はすぐ来週の9日。場所は京都ということで、久保九段のホームと言えそうです。

重要な対局で、振り飛車の底力が見られるでしょうか。楽しみです。

 

一方永瀬王座は3日後の6日に、また同じ陣屋にて、叡王戦の対局もあります。

3・6・9と、中2日でのタイトル戦が続くハードスケジュールですが、叡王戦は次勝てば防衛が決まるので、勝って気分よく王座戦第二局に臨みたいところでしょう。

 

次の対局も楽しみですね。

 

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【将棋】大本命バナナが優勝。七冠集う最終決戦は圧巻5連勝決着。【AbemaTVトーナメント決勝】

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半年間にわたって放送されてきた第3回AbemaTVトーナメントも、いよいよファイナルを迎えることになりました

決勝に進出したのはチーム渡辺<所司一門>と、チーム永瀬<バナナ>

破格の賞金1000万円をかけて激突です。

 

 

 

 

出場チーム

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チーム渡辺<所司一門>は、つい先週に初の名人位を獲得した渡辺明名人(名人・棋王・王将)をリーダーに、若手強豪の近藤誠也七段石井健太郎六段の、同門(所司和晴七段門下)3人で構成されたチーム。

予選リーグはギリギリの2位通過でしたが、決勝Tに入ってからはチーム糸谷に5-2、準決勝はチーム三浦に5-2と、強さを見せてきました。

決勝Tに入って負け無しの近藤七段がチームを牽引しています。

 

 

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チーム永瀬<バナナ>は、永瀬拓矢二冠(叡王・王座)がリーダーとなり、2日前に王位を獲得したばかりの藤井聡太二冠(王位・棋聖)と、若手強豪の増田康宏六段で構成されたチーム。

若く強力なメンバーを揃え、当初から優勝候補筆頭とされていました

予選リーグはやや苦戦し2位通過となったものの、決勝Tではチーム天彦に5-2、準決勝はチーム康光に5-3と、一度も先行を許さず勝ってきました。

エースの藤井二冠がさすがの強さを見せ、増田六段もいい仕事をしています。

 

 

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偶然にもタイトル7つが揃うこととなった豪華な決勝

実はここまで両チームの勝ち上がり方はとても良く似ています。

エース(近藤・藤井)がどんどん星を稼ぎ、サブ(石井・増田)が大事なところでいい働きをしています。一方リーダー(渡辺・永瀬)はそれほどの活躍はしていません。

なのでどちらが勝つか予想は難しかったのですが、両エースを止めた方が勝つということは確実に言えそうです。

さあどうなるでしょうか。

 

 

 

対局結果

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1局目 ✖石井ー藤井〇

2局目 ✖渡辺ー増田〇

3局目 ✖近藤ー永瀬〇

4局目 ✖渡辺ー藤井〇

5局目 ✖近藤ー永瀬〇

 

5-0でチーム永瀬の勝利

優勝はチーム永瀬、準優勝はチーム渡辺となりました

 

 

 

感想

まさかの5-0

決勝戦でこの一方的なスコアは予想外でした。

どうしてこうなった・・という感じですが、まあチーム永瀬は全員が力を発揮して、チーム渡辺はそれができなかったということでしょうか。

 

エースを止めた方が勝つと思ってましたが、永瀬二冠が近藤七段に連勝したのはやはり大きかったですね。

これまであまり目立った活躍は無かった永瀬二冠でしたが、決勝の大舞台で大きな仕事を果たしました

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そしてチーム永瀬の方のエースはさすがの活躍ぶり。石井戦は不利な局面もあったように思いますが終盤の力で勝ち切り。渡辺戦は自玉の不詰めを読み切って勝ちと、持ち前の終盤力を発揮しました。強いですね。知ってたけど。

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流れを作ったという意味では、2局目で増田六段が渡辺名人に圧勝したのは大きかったように思います。これでチーム渡辺は空気が悪くなった感じがありましたからね。増田六段はこの1局だけになりましたが、いい仕事でした。

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一方のチーム渡辺は厳しい結果となりました。

 

本戦全勝だったエース近藤七段は永瀬二冠に連敗。二戦目は勝勢まであったところからの逆転負けでした。

チームが連敗した後の3局目、そしてもう後がない5局目と、チーム状況が悪い中で厳しい場面を任されて、重圧があったかもしれません。最後は熱くなってしまったということでした。

とはいえこの決勝までこれたのは近藤七段の力だと思います。素晴らしい戦いぶりでした。

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リーダーの渡辺名人も2連敗。

1戦目で増田六段に完敗してしまい、やや自虐的になってチームの空気を悪くしてしまったかもしれません。

2戦目の藤井戦は良い戦いでしたが、攻め切ることができず。

盤外では大いに盛り上げましたが、勝ち星は得られませんでした。

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石井六段は藤井二冠に敗れたものの、途中までは優位を築いていたように思えました。

お互いに時間が無くなってからは終盤力で差をつけられてしまいましたが、対藤井が想定されたオーダーで、プレッシャーもある中善戦していたと思います。

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優勝

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第3回AbemaTVトーナメント、優勝はチーム永瀬<バナナ>に決まりました。

振り返れば4月のドラフトが放送されたときから、「ズルイ」といわれるくらいの強力なメンバー構成で、当初から優勝の本命とされていました

優勝候補がそのまま優勝してしまったわけですが、予選リーグでは苦戦もありました。何が起こるかわからないフィッシャールールですからね。簡単ではなかったと思いますが、やはり総合力が高かったです。

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個人的にはまっすーこと増田六段の活躍が嬉しかったですね。

もちろん増田六段も若手の相当な実力者なんですが、永瀬藤井と同じチームとなると、やはりかなりのプレッシャーがあったと思います。

自分のせいでチームを負けさせるわけにはいかないし、自分が活躍できずにチームが勝ってもいろいろ言われそうだし。

その重圧を結果で跳ね返したのが素晴らしいですね。チームの功労者だと思います。

 

なお賞金の使い道については、増田六段「かっこいい車」、藤井二冠「PCのパーツ」、永瀬二冠「くつ下・ハンカチ・ジャージ」だそうです。永瀬先生・・・。

 

準優勝

チーム渡辺<所司一門>は準優勝となりました。

最後は大敗となってしまったものの、ここまでの勝ち上がりは素晴らしかったです。

盤外でも盛り上げてくれましたしね。

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本日はネタ将と化した渡辺名人でした。
おつかれさまでした。

 

まとめ

半年間将棋ファンを大いに楽しませてくれた第3回AbemaTVトーナメントですが、これにて終了となりました。

この素晴らしかった大会については、また別記事にまとめようと思います。

とりあえずは、大会の企画運営に携わった皆さん、出場・出演された皆さん、ABEMAさんに感謝したいと思います。ありがとうございました。

また、会えるよね・・・?

 

abema.tv

 

【将棋】初戴冠から35日。若き天才、瞬く間に二冠を得る。中年の星は輝かず墜つ。【王位戦七番勝負】

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木村一基王位に藤井聡太棋聖が挑戦していた王位戦七番勝負。

第4局が8月19・20日にかけて行われ、藤井棋聖が80手にて勝ち

ストレートで4勝目を挙げ、王位を奪取。棋聖と合わせて二冠に昇りました

合わせてタイトル2期の条件を満たし、八段に昇段。18歳1か月での快挙です。

 

 

ここまでの経過

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7月から始まった七番勝負ですが、ここまで藤井棋聖の3戦3勝

木村王位はカド番に追い込まれ、ここから4連勝するしかないという厳しい状況でした。

ただ星は片寄っているものの木村王位も不調という感じではなく、カド番だからといって悲壮感が漂っているような印象もなかったです。

よく「1つ勝てば流れが変わる」と言いますが、逆転防衛とまではいかないまでも、巻き返すことは十分可能だと思っていました。

 

 

対局場

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王位戦は地方紙の持ち回りで主催されており、今回は西日本新聞が担当ということで、会場は福岡。市の中心部、大濠公園の中にある大濠公園能楽堂の能舞台の上が対局場となりました。

 

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竜王戦などでも能舞台が対局場になることがありますが、和の伝統が感じられる舞台と将棋は合いますね。和服の対局姿が映えると思います。

良い場所をお貸しいただきありがとうございますという感じですね。

 

 

対局内容

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木村王位の先手番で、戦型は第2局と同じく、得意の相掛かりとなりました。

木村王位が工夫の形を出し、藤井棋聖が慎重に対応するという序盤で、主に先手の端攻めをめぐり一手一手緊張感のある中で1日目は推移しました。

そして形勢互角で封じ手の場面。

先手が後手の飛車に銀を当てたところで、後手の藤井棋聖が封じる意志を決めます。

飛車を逃げる一手かと思いきや、AIは同飛車と飛車を切る思い切った手を推奨

藤井棋聖は定刻を20分ほど過ぎたところまで考え、42手目を封じました。

 

 

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そして2日目。

開封された封じ手は決断の同飛車でした。

この手に将棋クラスタは大いに盛り上がり、将棋界ではお馴染みの「同飛車大学」が大量にツイートされた結果、まさかのトレンド入りヤフーのリアルタイムではなんと1位にまでなってしまいました。

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最近は将棋の関連ワードが上位になることもたまにありますが、さすがに同飛車大学が1位は驚きです。豊川七段もお喜びでしょう。ミヤネ屋呼ばれてましたね。

 

 

さて、この封じ手から局面は藤井棋聖が攻める展開に。

木村王位は難しい選択を迫られ続けることになり、なかなか最善を指せません。

藤井棋聖の攻めが確実に刺さりはじめ、有利を得ていきます。

反撃も力なく最後は大差となり、80手までで藤井棋聖の勝ち。

ストレートでの王位奪取となりました。

 

 

二冠へ

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これで藤井棋聖は王位を加えて藤井二冠となり、同時に八段昇段

二冠と八段の最年少記録を更新したそうです。

初タイトルの棋聖を獲得してからわずか35日でした。

 

 

陥落

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 一方の木村王位は残念ながら1勝もできないまま終わってしまいました。

幾度もの挑戦失敗を経て昨年46歳にして初めて手にした悲願のタイトルでしたが、在位1期のみで18歳の若き天才に奪われることに。

厳しさと切なさを感じてしまいますね。仕方のないことですが。

一から出直すと仰った木村先生。またタイトル戦に出てきてほしいと思います。

 

まとめ

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先にも書いたように、本局の前までは木村王位も悪いわけではないし巻き返しも一定可能ではないかと思っていました。

2局目の逆転負けが無ければ番勝負の行方もわからなかったのでは、とも思っていました。

ただ本局が大差となったことで、やはり目は無かったのだという印象になってしまいましたね。

4連勝という結果が示す通りの、藤井強しという番勝負だったという結論になるでしょうか。

ただ藤井新王位にもミスはありましたし、序中盤は苦労することも多かったような気はします。本人も課題が見つかったということも言われてましたし、このあたりはまた反省してまた強くなる材料にしてしまうんでしょうね。

 

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さてこれでタイトルホルダーは一人減って4人に。

・渡辺明三冠(名人・棋王・王将)

・豊島将之竜王

・永瀬拓矢二冠(叡王・王座)

・藤井聡太二冠(王位・棋聖)

将棋界はこの4強時代に入ったのかもしれません。今期の名人戦・叡王戦・棋聖戦もこの4人で回してましたしね。叡王戦まだやってますけどね。

9月からの王将リーグには豊島永瀬藤井3人ともが参加し、渡辺王将への挑戦を争うことが決まっています。羽生九段や広瀬八段もいますし、木村前王位も参加の可能性があります。

王将リーグ、大いに注目ですね。アベマの放送は無いけどね・・・。

 

藤井二冠の飛躍で勢力図も変化しつつある将棋界、これからも面白くなりそうですね。

 

abema.tv

 

将棋めしとおやつ

1日目おやつ1

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1日目昼

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1日目おやつ2

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2日目おやつ1

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2日目昼

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2日目おやつ2

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【将棋】渡辺明新名人誕生。縁遠かった名人位、ついに手が届く。豊島不調脱せず陥落。【名人戦七番勝負】

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豊島将之名人に渡辺明二冠が挑戦していた今期の名人戦七番勝負。

渡辺二冠の3勝、豊島名人の2勝で迎えた第6局に渡辺二冠が勝ち、初の名人位を奪取しました。

 

対局内容

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渡辺二冠の先手番で、矢倉を採用

ここ一番では矢倉なんですね。対する豊島名人も用意の対応といった感じでした。

一日目は駒組から難解な中盤へ。端なども絡めつつ小競り合いはありましたが、形勢互角のまま豊島名人が封じ終了。

二日目は一転して切りあいに。駒得はしても陣形がバラついてしまった豊島陣に対して、渡辺二冠が的確な攻めをつなげていきます。午前中から形勢は一気に渡辺有利に傾き、午後からは早くも決めに行く段階となりました。

渡辺二冠は最後は慎重に手を進め、99手にて豊島名人が投了。

渡辺二冠が勝ち、名人奪取となりました。

 

初の名人 

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渡辺二冠はこれまでタイトル通算25期。永世竜王と永世棋王の資格も保持している大棋士ですが、なぜか名人戦はこれまで挑戦すら一度もないという、不思議と縁遠いタイトルでした

前々期はB級1組に陥落しての戦いを余儀なくされてましたが、全勝してA級復帰し、そのまま翌年A級でも全勝して挑戦権獲得。そして今回奪取を果たすという復活劇となりました。

やはり名人は特別なタイトルですから、渡辺先生にとっても悲願だったでしょう。これだけの大棋士なら名人になっておいてほしいとも個人的には思ってました。心からおめでとうございますと言いたいですね。

 

 

またも防衛ならず

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一方の豊島名人は残念でした。ハッキリと不調の時期に入ってしまっていましたね。過密スケジュールもあってか、立て直す間もないまま終わってしまった感があります。

これで竜王の一冠に後退。これまでタイトルを4回獲得しながら、3回続けての防衛失敗となってしまいました。防衛の壁が高いですね・・・。

挑戦中の叡王戦でも2勝3敗とカド番の状態となっていますが、そちらは次は少しだけ間隔が空くので、なんとか立て直してほしいところです。

 

まとめ

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コロナの影響で延期となったり対局場が変わったりと、異例の名人戦七番勝負となった今期でしたが、これにて無事終了となりました。

すでに順位戦は開幕して数局が消化されており、豊島前名人もここに参加して来期挑戦を目指すことになります。

渡辺新名人に挑戦するのは誰になるでしょうか。

これからの順位戦の行方も楽しみですね。

 

abema.tv

 

めし

豊1

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渡1

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豊2

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渡2

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【将棋】優勝候補バナナ、やはり決勝へ。レジェンド軍団反撃及ばず敗退。【AbemaTVトーナメント準決勝】

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いよいよクライマックス間近の第3回abemaTVトーナメント。今回は準決勝の2試合目、チーム永瀬<バナナ>チーム康光<レジェンド>の対戦です。

勝った方が決勝に進むという大一番になります。

 

出場チーム

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チーム永瀬<バナナ>は、永瀬拓矢二冠藤井聡太棋聖増田康宏六段の3人。

若く強力なメンバーを揃え、チーム結成当初から優勝候補だと言われていました

予選では苦戦もしましたが、結果としては前評判通りにここまで勝ち上がってきています。

 

 

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チーム康光<レジェンド>は、佐藤康光九段谷川浩司九段森内俊之九段の3人。

全員が永世称号を持ち、数々のタイトルを獲得してきた伝説級のベテラン棋士たちによるチームです。

若手有利と言われる早指し棋戦ながら、好調の森内九段が原動力となり4強まで勝ち上がってきました。

 

 

最年少チームと最年長チームの顔合わせとなった今回。

予想としてはやはりチーム永瀬有利は動かないところですが、チーム康光も森内先生が好調を続けているので、康光先生と谷川先生が力を出せればいい戦いになると思っていました。

 

 

対局結果

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1局目 藤井〇ー✖康光

2局目 永瀬〇ー✖谷川

3局目 増田〇ー✖森内

4局目 永瀬✖ー〇康光

5局目 藤井✖ー〇森内

6局目 増田〇ー✖谷川

7局目 永瀬✖ー〇森内

8局目 藤井〇ー✖康光

 

チーム永瀬が5勝先取し、勝ち上がりとなりました。

チーム康光はここで敗退です

 

 

感想

序盤チーム永瀬の3連勝で、「こりゃあ一方的だなあ・・・若いモンは容赦ねえなあ・・・。」とか思ってましたが、そこからのレジェンドの巻き返しが凄かったです。

康光九段が永瀬二冠を、森内九段が藤井棋聖を立て続けに破ったのは熱かった。

ここに谷川九段が続くことができていれば、というところでしたが。惜しかったですね。増田六段に流れを止められてしまいました。

 

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この勝ちを含め2戦2勝の増田六段が、今回のチームの立役者となりましたね。

3局目では好調の森内九段に対してじっくりと差を広げて勝ち、谷川戦でもじっくりと相手に対応しながら一瞬の隙で弱点を突いて勝ちと、冷静で落ち着いた差し回しが光りました。

チームに貢献できたと本人も嬉しそうでした。よかった。

 

藤井棋聖は3連勝した前回ほど調子は良くないようでしたが、それでも2勝1敗。エースはきちんと仕事をします。

見落としが出て森内九段に敗れるなど苦戦気味でしたが、最後の康光戦は 矢倉からの熱戦を見事に制しました。やはり詰む詰まないの読みが凄いです。

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永瀬二冠は1勝2敗。谷川戦では力戦でポイントを取って押し切りましたが、康光戦と森内戦ではじっくりとリードを取られてしまいました。

ここまで目立った活躍はない永瀬リーダーですが、決勝戦ではチームを助けられるでしょうか。

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一方敗れたレジェンドチームですが、今回も活躍を見せてくれたのが森内九段

増田六段には敗れたものの、藤井棋聖と永瀬二冠の両タイトルホルダーに勝ち、2勝1敗と勝ち越しました。

決勝トーナメントに入って5勝1敗、予選から通算すると9勝2敗。このフィッシャールールで抜群の強さです。流れが完全に来ていました。

個人的にも今大会で一番印象が変わったのが森内先生です。一言で言うと「強かった人」から「強い人」に、認識を改めさせられましたね。今後の森内先生にも興味がわきます。とりあえず森内チャンネル見ます。

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佐藤康光九段は1勝2敗。永瀬二冠には勝ちましたが、藤井棋聖に2敗しました。

ただ藤井戦の1戦目は途中までリードを奪っていたように見えましたし、2戦目もギリギリの熱戦になったので、惜しい戦いだったと思います。

最後は本当に悔しそうにされていたのが印象的でした。

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谷川九段は2敗。永瀬二冠と増田六段にうまく指されてしまいました。

前回は2勝1敗と勝ち越していましたが、今回は流れを持ってこれませんでしたね。

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これでレジェンドことチーム康光は敗退となったわけですが、改めてこの3人がチームを組んで超早指し戦に参戦したこと、そして4強まで勝ち上がったことは、我々将棋ファンを大いに楽しませてくれました。

 

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ドラフトでチームが結成されたとき、康光リーダーは「本気を出せば強い。認知を改めていただきたい。」と言われてましたが、その言葉を実証したのではないかと思います。

times.abema.tv

 

またチームツイッターでも大いに楽しませてくれました。

今回を区切りに終わってしまうようで残念ではありますが、ありがとうございましたと言いたいですね。

 

 

 

展望

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さてこれでチーム永瀬の決勝進出が決まりました

優勝候補はそのまま優勝してしまうのか。

決勝のカードは、チーム渡辺<所司一門>対チーム永瀬<バナナ>ということになります。

正直どうなるか読めません。

ただ両チームのエース、藤井棋聖と近藤七段を止めた方が勝つのではないかと思います。

 

決勝戦は一周空いて8月22日。

次週は総集編らしいです。

半年間楽しませてくれたこの大会が終わってしまうのは寂しいですが、結末を最後まで見届けましょう。

 

 

abema.tv

 

【将棋】藤井棋聖が3勝目。終盤寄せ損なうも立て直し、王位奪取に王手。【王位戦七番勝負】

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木村一基王位に藤井聡太棋聖が挑戦している今期の王位戦七番勝負。8月4・5日に第三局が行われ、藤井棋聖の勝利となりました。

これで番勝負は藤井棋聖の3勝、木村王位の0勝となり、藤井棋聖が王位獲得にあと1勝として、第4局を迎えることとなります。

 

 

 

これまでの経過

豊橋で行われた第1局は、藤井七段が果敢な攻めで木村王位の受けを押しつぶして勝ち。

札幌で行われた第2局は、木村王位がリードを奪う展開で勝勢までいきましたが、最後まで手を尽くした藤井七段が木村王位のミスを誘い、大逆転で勝ちを拾いました。

ここまで藤井七段の2連勝。

そしてこの間、藤井七段は藤井棋聖となりました

ここからは王位と棋聖のタイトルホルダー同士の番勝負です。

前局で痛い負けを喫した木村王位が立て直して1勝目を挙げるか、あるいは藤井棋聖が一気の3連勝で王手をかけてしまうのか、というのが本局でした。

 

対局場<有馬温泉・中の坊瑞苑>

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本局が行われたのは兵庫県の有馬温泉にある、中の坊瑞苑という立派な温泉旅館。

王位戦は地方紙が持ち回りで開催しており、今回は神戸新聞が担当。

ここは恒例の対局場になっており、何度も王位戦に登場している木村王位にはもはやおなじみの宿。温泉を楽しみにしていると前日会見で言われてました。

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名物の肉うどん膳は谷川九段や羽生九段がよく注文してよく勝っているらしく、今回も藤井棋聖が注文していました。

 

対局内容

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藤井棋聖の先手番で、矢倉に構えました

土居矢倉という昭和初期に指されたという戦型らしいですが、AIの影響もあり、最近になってまた評価されているとのこと。戦法の流行の移り変わりも将棋観戦の面白いところです。

1日目はじっくりとした展開で、本格的な戦いが始まることなく、木村王位が封じ手をして終了。今回も3通用意されました。

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2日目も午前中は睨みあいのような展開。本格的な戦いは午後からでした。

藤井棋聖が攻めを敢行し、対して木村王位は受ける方針を選択

しかしここからの藤井棋聖の攻めは緩むことなく継続し、木村王位は反撃に移れないまま、形勢に差がついていきました。木村王位も執念の受けを見せますが、状況を好転させるまでには至りません。

そして最終盤。藤井棋聖が寄せに出て、そのまま勝ちきるかと思われましたが、見落としが出て一気に状況は混沌。AI評価値は90%の勝勢から一気に互角に戻りました。

しかし木村王位はこのチャンスを生かせず。藤井棋聖がなんとか立て直し、今度は寄せきることに成功。

藤井棋聖が3勝目を手にしました。

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感想

最後はどうなることかと思いました

藤井棋聖が寄せですっぽ抜けることなんてまず無かったですからね。さすがに2日制の終盤は疲労が思考を妨げるのでしょうか。

ただそこから立て直したのもまた凄い。感想戦では「指されたらマズかった手」がしっかり見えていたのも確認できました。大きなミスをして、かつ持ち時間がほとんど無い状態でも冷静さを保てていたわけですから、そりゃもう並の18歳ではありません。

 

一方木村王位は、最後もチャンスが来たとまでは思っていなかったようですね。

相当見えにくい手を指さないと好転しなかったようなので、仕方なかったとは思いますが、負けた後の感想戦でその手を指摘された時は、もう2回負けたような気分だったでしょうねえ・・・。

 

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一局全体で言えば、藤井棋聖が木村王位に攻め勝ったという将棋だと思います。

ただ今局は木村王位がただ攻められたのではなく、自ら受けの方針をを選んだ形でした。

受け師が受けを選び、それでも攻め倒してしまった藤井棋聖は、やはりそれだけ強いということなのでしょう。

いよいよ二冠が見えてきたでしょうか。

 

展望

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これで番勝負は藤井棋聖の3勝0敗

木村王位は後がなくなりました。4連勝するしかありません。

ここから藤井棋聖が4連敗というのは、ちょっと考えづらいなあというのが正直なところ。

ただ苦労して掴んだ最年長初タイトルを、若き天才に簡単に奪われてしまうのではちょっと悲しいので、なんとか意地を見せてほしいです。

 

次局は今月19・20日。福岡で行われます。

決着局になる可能性があります。

見どころの多い対局を期待しましょう。

 

 

 

将棋めし

1日目午前おやつ

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1日目昼

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1日目午後おやつ

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2日目午前おやつ

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2日目昼

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2日目午後おやつ

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abema.tv

 

【将棋】久保九段が渡辺二冠を下し王座挑戦決定。振り飛車党歓喜、対抗型のタイトル戦に。【王座戦挑決】

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王座戦の挑戦者決定戦、渡辺明二冠対久保利明九段が3日行われ、久保利明九段が勝利。永瀬拓矢王座への挑戦権を獲得しました。

王座戦五番勝負は9月から行われます。

 

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渡辺二冠は本戦から登場、増田六段、行方九段、豊島竜王名人に勝ってここまで来ました。

現在名人戦にも挑戦中ですが、棋聖位を失ったばかりでもあり、タイトルを増やすチャンスを得たいところです。

 

一方の久保九段は二次予選から登場し、本戦では松尾八段、飯島七段、大橋六段に勝って挑決に進出してきました。

2期前の王将戦では渡辺二冠にストレート負けで失陥しており、リベンジを果たしてタイトルの舞台に戻りたいところです。

 

 

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戦型は対抗型、後手の久保九段が四間飛車に構えました。

昼休前後の9筋の端攻めから局面が動き、久保九段が有利を得ていきましたが、少し攻め急いだかという手があり、形勢はやや渡辺良しとなり夕休へ。

夕休後は渡辺二冠にミスが出て、状況はまた久保良しに傾いていきます。

そのあとは渡辺二冠の勝負手にうまく対応しきって、久保九段が勝ち切りました。

 

 

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久保九段と言えば振り飛車党の代表的存在。現在の振り飛車党総裁とも言われ、タイトルも何度も登場しているトップ棋士です。

ただ2期前の王将戦で渡辺二冠に敗れて奪取されて以来、タイトルからは遠ざかり、順位戦もA級から陥落。

その間他の振り飛車党もタイトルに挑戦できず、タイトル戦から振り飛車が消えて久しくなっていました

 今回久々にタイトル戦で振り飛車が見れるということで、アマチュアに多数いる全国の振り飛車党員たちも喜んでいるでしょう。

 

最近開設されたツイッターで、久保先生がコメントされてました。

 

 

あと余談ですが、最近久保先生は口ひげを生やされ、イケオジだと評判です

ちなみにもうすぐ45歳。こういう方面からでも、ファンが増えるといいですね。

スクショ並べておきます。

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永瀬拓矢王座との王座戦五番勝負は、9月3日に開幕です。

楽しみにしましょう。
 

abema.tv

 

 

【将棋】3勝持ってきた誠也、チーム渡辺が決勝進出。三浦ミレニアム敗退。【abemaTVトーナメント準決勝】

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第3回abemaTVトーナメントもいよいよ佳境。前回までで4強が出揃い、今回から準決勝となりました

準決勝1戦目の今回のカードは、チーム渡辺<所司一門>チーム三浦<ミレニアム>の対戦。

決勝進出を賭けた戦いとなります

 

出場チーム

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チーム渡辺<所司一門>は、渡辺明二冠近藤誠也七段石井健太郎六段を指名した、同門のメンバーで構成されたチーム。

予選リーグでは2位通過でしたが、準々決勝ではチーム糸谷に対して5対2の勝利

近藤・石井の弟分二人が活躍し、4強に上がってきました。

賞金ゲットで一門グッズを作りたいらしいです。

 

 

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チーム三浦<ミレニアム>は、三浦弘行九段高野智史五段本田奎五段の若手有望株二人を指名したチーム。

予選リーグはプレーオフによりギリギリの2位通過。準々決勝ではチーム広瀬と最終局までもつれ込む激闘を演じ、こちらもギリギリで勝ち上がってきました。

大事な勝負所で力を発揮するチームです。

 

 

戦前の予想としては、両チームの若手2人の活躍がカギになるかなと。その意味では近藤・石井の二人が前戦で力を見せたので、チーム渡辺がやや有利かなと思っていました。

 

 

 

 

対局結果

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1局目 渡辺✖ー〇三浦

2局目 近藤〇ー✖本田

3局目 石井✖ー〇高野

4局目 渡辺〇ー✖本田

5局目 近藤〇ー✖高野

6局目 石井〇ー✖三浦

7局目 近藤〇ー✖高野

 

チーム渡辺が5勝先取し、決勝へ勝ち上がりとなりました

チーム三浦はここで敗退です

 

 

感想

近藤七段強いですね1人でチーム5勝のうち3勝を挙げました

そういう人がいたらチームはまず勝てます。先週の藤井棋聖もそうでしたが。

しかも近藤七段は準々決勝から負け無しの5戦5勝

「持ってこい誠也」(参考:0:50~)で気合を入れられて以来、完全にチームを勝たせるカープの4番として君臨していますね。じっくり構えながら機を掴んで優位を築くのが上手い印象です。

決勝でもこの調子が続けば、チーム渡辺に優勝を導くでしょう

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もうひとりの若手、石井六段は1勝1敗。

高野五段には上手く指されてしまいましたが、三浦九段との激闘は素晴らしかったです。混戦の中でも受けの手が冴えわたり、貴重な1勝をチームにもたらしました。

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リーダー渡辺二冠は1勝1敗。

三浦九段には熱戦の末敗れましたが、本田五段には完勝でした。

この大会では1勝がノルマみたいになってますね。もっと勝ってもいいのよ。

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一方敗れたチーム三浦。チームとしては2勝に留まりました

安定感と勝負強さでここまできましたが、力を出せずでした。

 

リーダー三浦九段は1勝1敗。

作戦巧者ぶりを見せ、渡辺二冠には熱戦の末に勝ちましたが、石井六段にはこちらも熱戦の末敗れました。

ここまで大事なところで勝ってチームを引き上げてきましたが、今回は届かず。

チーム思いで慈愛にあふれたリーダーでした。

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高野五段は1勝2敗。

全て後手番で大事なところを任せられ、石井六段には勝ちましたが、近藤七段には2度敗れてしまいました。

最終局ではうまく反撃が決まったかというところでしたが、惜しかったですね。

三浦リーダーにも頼られ、準々決勝から通じてよく健闘していた印象です。

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本田五段は0勝2敗と残念な結果。

先手番を2回任されましたが、得意の相掛かりが不発となってしまいました。

序盤巧者のはずが序盤からリードを奪われる展開になったり、決勝トーナメントに入ってから結果があまり出ませんでしたね。

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展望

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これでチーム渡辺の決勝進出が決まりました

リーダーの渡辺二冠はあまり目立った活躍がありませんが、若手が引っ張っていますね。チームとしてすごくいい感じになっていると思います。

相手はまだ決まっていませんが、優勝も十分あるのではないでしょうか

 

さてその相手が決まる準決勝のもう1試合。

チーム康光<レジェンド>とチーム永瀬<バナナ>の対戦となります。

やはりチーム永瀬が有利かなあと思いますが、レジェンドにも魅せてもらいたいところです。森内先生も好調ですし、康光先生が力を出せばというところでしょうか。

チーム永瀬も二人がタイトル戦真っ最中で忙しいですが、いい戦いを見せてもらえればと思います。

 

いよいよ佳境のabemaTVトーナメント、来週も楽しみですね。

 

abema.tv

【将棋】AI評価が一手で急転、優勢から大敗勢へ。名人戦は2勝ずつのタイに。【名人戦七番勝負】

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渡辺明二冠が豊島将之名人に挑戦している名人戦七番勝負。

豊島名人の2勝、渡辺二冠の1勝で迎えた第四局が行われ、渡辺二冠が勝利しました。

これで対戦成績はお互い2勝2敗となりました。

 

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先手の渡辺二冠が矢倉を選択。1日目の午前中は早く手が進みましたが、午後からはじっくり。

豊島名人に長考があり、時間差・形勢ともにやや渡辺二冠が有利かというところで1日目終了。豊島名人が68手目を封じました。

 

2日目、中盤から終盤にかけて形勢は揺れ動きながらも大差はつかないまま推移。

そして午後になって最終盤。重要な局面が訪れます。

 

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豊島名人の踏み込みに対する渡辺二冠の対応が悪手と判断され、AIの形勢判断は豊島名人が75%と大きく優勢に振れます。

その後の渡辺二冠の反撃の王手に対して、豊島名人の選択は二択。符号で言うと△5三玉△5二玉

検討のプロ棋士たちもどちらがいいのかわからない難解な局面。

ここで豊島名人が指したのは、△5三玉

その瞬間、AIの評価値が、今まで見たことがいないような激変を起こします。

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豊島名人の75%の優勢から、マイナス94%の大敗勢へ。

完全に裏返ってしまいました。

 

その後も難解ではありましたが、数字上の勝勢を得た渡辺二冠が、その数字を証明するように勝ちを手にすることとなりました。

 

あくまで数字上のことではありますが、たった一手の大逆転

それも難解な二択で。

恐ろしいものを見た気がします。

将棋ってこんなことがあるんですね・・・。

まあ対局者はそういう認識は無かったと思いますが。

 

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これで名人戦七番勝負はお互いに2勝。

ここから改めて2勝先取の三番勝負ということになります。

 

豊島名人の戦績がこのところ振るわないのがやや気になりますが、まだまだわからない名人戦。この先どうなるでしょうか。

 

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