【将棋】初戴冠から35日。若き天才、瞬く間に二冠を得る。中年の星は輝かず墜つ。【王位戦七番勝負】
木村一基王位に藤井聡太棋聖が挑戦していた王位戦七番勝負。
第4局が8月19・20日にかけて行われ、藤井棋聖が80手にて勝ち。
ストレートで4勝目を挙げ、王位を奪取。棋聖と合わせて二冠に昇りました。
合わせてタイトル2期の条件を満たし、八段に昇段。18歳1か月での快挙です。
ここまでの経過
7月から始まった七番勝負ですが、ここまで藤井棋聖の3戦3勝。
木村王位はカド番に追い込まれ、ここから4連勝するしかないという厳しい状況でした。
ただ星は片寄っているものの木村王位も不調という感じではなく、カド番だからといって悲壮感が漂っているような印象もなかったです。
よく「1つ勝てば流れが変わる」と言いますが、逆転防衛とまではいかないまでも、巻き返すことは十分可能だと思っていました。
対局場
王位戦は地方紙の持ち回りで主催されており、今回は西日本新聞が担当ということで、会場は福岡。市の中心部、大濠公園の中にある大濠公園能楽堂の能舞台の上が対局場となりました。
竜王戦などでも能舞台が対局場になることがありますが、和の伝統が感じられる舞台と将棋は合いますね。和服の対局姿が映えると思います。
良い場所をお貸しいただきありがとうございますという感じですね。
対局内容
木村王位の先手番で、戦型は第2局と同じく、得意の相掛かりとなりました。
木村王位が工夫の形を出し、藤井棋聖が慎重に対応するという序盤で、主に先手の端攻めをめぐり一手一手緊張感のある中で1日目は推移しました。
そして形勢互角で封じ手の場面。
先手が後手の飛車に銀を当てたところで、後手の藤井棋聖が封じる意志を決めます。
飛車を逃げる一手かと思いきや、AIは同飛車と飛車を切る思い切った手を推奨。
藤井棋聖は定刻を20分ほど過ぎたところまで考え、42手目を封じました。
そして2日目。
開封された封じ手は決断の同飛車でした。
この手に将棋クラスタは大いに盛り上がり、将棋界ではお馴染みの「同飛車大学」が大量にツイートされた結果、まさかのトレンド入り。ヤフーのリアルタイムではなんと1位にまでなってしまいました。
最近は将棋の関連ワードが上位になることもたまにありますが、さすがに同飛車大学が1位は驚きです。豊川七段もお喜びでしょう。ミヤネ屋呼ばれてましたね。
ただ今ミヤネ屋で解説中の豊川七段の番外編🚣🏻♀️ pic.twitter.com/Td55zsbJYX
— 武富礼衣 (@ReiShogi) August 21, 2020
さて、この封じ手から局面は藤井棋聖が攻める展開に。
木村王位は難しい選択を迫られ続けることになり、なかなか最善を指せません。
藤井棋聖の攻めが確実に刺さりはじめ、有利を得ていきます。
反撃も力なく最後は大差となり、80手までで藤井棋聖の勝ち。
ストレートでの王位奪取となりました。
二冠へ
これで藤井棋聖は王位を加えて藤井二冠となり、同時に八段昇段。
二冠と八段の最年少記録を更新したそうです。
初タイトルの棋聖を獲得してからわずか35日でした。
陥落
一方の木村王位は残念ながら1勝もできないまま終わってしまいました。
幾度もの挑戦失敗を経て昨年46歳にして初めて手にした悲願のタイトルでしたが、在位1期のみで18歳の若き天才に奪われることに。
厳しさと切なさを感じてしまいますね。仕方のないことですが。
一から出直すと仰った木村先生。またタイトル戦に出てきてほしいと思います。
まとめ
先にも書いたように、本局の前までは木村王位も悪いわけではないし巻き返しも一定可能ではないかと思っていました。
2局目の逆転負けが無ければ番勝負の行方もわからなかったのでは、とも思っていました。
ただ本局が大差となったことで、やはり目は無かったのだという印象になってしまいましたね。
4連勝という結果が示す通りの、藤井強しという番勝負だったという結論になるでしょうか。
ただ藤井新王位にもミスはありましたし、序中盤は苦労することも多かったような気はします。本人も課題が見つかったということも言われてましたし、このあたりはまた反省してまた強くなる材料にしてしまうんでしょうね。
さてこれでタイトルホルダーは一人減って4人に。
・渡辺明三冠(名人・棋王・王将)
・豊島将之竜王
・永瀬拓矢二冠(叡王・王座)
・藤井聡太二冠(王位・棋聖)
将棋界はこの4強時代に入ったのかもしれません。今期の名人戦・叡王戦・棋聖戦もこの4人で回してましたしね。叡王戦まだやってますけどね。
9月からの王将リーグには豊島永瀬藤井3人ともが参加し、渡辺王将への挑戦を争うことが決まっています。羽生九段や広瀬八段もいますし、木村前王位も参加の可能性があります。
王将リーグ、大いに注目ですね。アベマの放送は無いけどね・・・。
藤井二冠の飛躍で勢力図も変化しつつある将棋界、これからも面白くなりそうですね。
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