【将棋】最後の最後に崩れた王位。劇的大逆転で藤井七段が2勝目。【王位戦七番勝負】
木村一基王位に藤井聡太七段が挑戦している王位戦七番勝負。第2局が2日間にわたって行われ、挑戦者の藤井七段が勝ちました。
最後の最後の大逆転。劇的な決着でした。
対局場
対局が行われたのは北海道札幌市のホテルエミシア札幌。
王位戦は地方紙が持ち回りで主催し、その地元で対局する形になっています。今局は北海道新聞の主催なので札幌対局です。(前局は中日新聞主催で愛知対局でした。)
後で画像も載せますが、おいしい食事がいただけそうなホテルでした。
対局1日目
木村王位の先手番で、相掛かりの出だしになりました。
「相掛かりは他の戦型と比べて定跡が整備されておらず力戦型(出たとこ勝負)になりやすい」というのは観る将をやっていると自然に身につく基礎知識なんですが、今局はまさにそういう感じに。
前例もなく構想力を問われる展開となり、じっくりとした中盤に入ります。
そのまま夕方6時を迎え、封じ手となりました。
封じ手
40手目を封じたのは藤井七段。タイトル戦で封じ手をするのは初めてでした。
一応JT杯では経験があるようですが、まああれはイベントみたいなもんですからね。今回はちょっと緊張したのではないでしょうか。
裏面に署名を入れておらず、木村王位にそれを優しく教えられたという場面がありましたが、藤井七段は上位者が先に署名するものだと思っていたらしいとのこと。
上位者に対する謙譲と優しく教える先輩。いいですねこういうの。将棋界の素晴らしいところです。
また今回封じ手が特別に3通作られました。
封じ手はコチラ。3通確かに。 pic.twitter.com/cyHaCsAk2j
— 北海道新聞文化部 (@doshin_bunka) July 14, 2020
ふつうは2通なのですが、1通をチャリティーにという提案が木村王位からあったらしく、豪雨災害などに役立てられるそうです。木村先生のお心遣い、素晴らしいですね。
チャリティーを想定していたなら藤井七段の方が封じ手をしたのは予定かな?とちょっと思ってしまうのですが。まあ気にしないでおきましょう。
「封じ手」チャリティーに 木村王位が提案:北海道新聞 どうしん電子版
対局2日目
封じ手開封から始まった2日目。
午前中はじりじりとした展開でしたが、午後になって形勢が動き始めます。
攻めを呼び込んで受け返す木村王位の持ち味が効果を発揮し、有利を築くことに成功。
そして終盤へ。完全に優勢となった木村王位が決めに行きますが、藤井七段も苦しいながら手を尽くして粘ります。
それでも粘り切れないかと思ったところでしたが、木村王位に緩手があったのか、藤井七段に反撃の糸口となる一手を許してしまうことに。
そして時間切迫の中、守りも気にしなくてはいけなくなった木村王位にミスの連鎖が。一方藤井七段は一気に息を吹き返して持ち前の終盤力を発揮、すべて最善の手で一気に木村玉に襲い掛かりました。
最後の最後で大逆転。藤井七段の勝ちとなりました。
感想
いやー。びっくりしました。完全に木村王位の勝ちだと思って見てました。
2日間かけて脳ミソ絞って組み立ててきたものが、最後の最後にガラガラと音を立てて崩れてしまいましたね。
ほんの少しの隙が出ただけで。会心譜となるはずだったのに。残酷ですね将棋って。少し切なくもなりました。
まあ私はすごいもん見れたっていう感動の方が大きいですが。
今回は「木村王位が寄せ損なった」という評価になるんでしょうけど、逆転を狙い続けた藤井七段の勝負術も光ります。
攻守が逆だったら「若さと老獪さ」として語られてたんでしょうね。「若さゆえのミス、老獪な逆転術」って。今回逆ですからね。
棋聖戦でも似た状況でしたが、渡辺棋聖は時間を残していたので慎重に対応できました。今回は木村王位に時間が無かったですね。
いつも先行してリードを広げて勝っている藤井七段が、なぜこんな勝負術を身に着けているんでしょうか。しかも若いのに。先天性のスキルなんでしょうか。恐ろしい子です。
展望
さてこれで王位戦七番勝負は藤井七段の2連勝となりました。
木村王位は先手番で痛い敗戦。
とはいえ良い将棋を指していたのは木村王位の方ですし、調子も悪くないのでしょう。
気持ちを切り替えて次に臨んでほしいと思います。
次の第3局は少し期間が空いて、8月4・5日に行われます。
藤井七段はこの時にはもう棋聖戦五番勝負が終わっています。
「藤井棋聖」として2つ目のタイトルを狙いに行くのか。
棋聖を逃し王位奪取に賭けているのか。
どんな状況になっているのか、楽しみですね。
将棋めし
1日目午前のおやつ
1日目昼食
1日目午後のおやつ
2日目午前のおやつ
2日目昼食
2日目午後のおやつ