【将棋】将棋界を背負う男、早指しの雄を丸太で払いのける。【第3回abemaTVトーナメント】
将棋ファンの毎週土曜のお楽しみ、第3回abemaTVトーナメント。今週から予選リーグの折り返し、Cグループが始まりました。
まずはチーム佐藤康光vsチーム糸谷。
チーム康光はまたの名を「チームレジェンド」。3人ともが永世資格を持つ、実績が十分すぎるチームです。以前プレビュー記事も書きました。
対してチーム糸谷はリーダーの糸谷八段を筆頭に早指しの実績十分で、年齢的にも比較的若いメンバー。
やはり超早指し戦ということを考えればチーム糸谷に分がありそうで、対してチーム康光がどこまでやれるか、という構図が戦前の予想です。
オーダーはこうなりました。
先鋒戦
その1局目。序盤から谷川九段が押し気味に進め、都成六段は時間も使い苦しい展開。終盤谷川九段が強く寄せにいきましたがなんと読み抜けがあり、大逆転で都成六段が勝ちました。
2局目も序盤から谷川九段がリード。今度はそのまま押し切って谷川九段の勝ち。
3局目はここまで内容の悪かった都成六段がペースをつかみ、じっくりと勝ち切りました。
谷川九段の1勝、都成六段の2勝となりました。
中堅戦
中堅戦は森内俊之九段と高見泰地七段の横浜対決。
1局目はじりじりとした押し引きから高見七段が抜け出して勝ち。
2局目もギリギリの競り合いが続きましたが、森内九段が一瞬のチャンスをとらえて詰まして勝ち。
3局目は森内九段が上手い差し回しで有利を積み上げて勝ち切り。
3局とも両者の得意戦型である矢倉の戦いになりましたが、結果は森内九段が2勝、高見七段が1勝となりました。
大将戦
お互い3勝のイーブンで迎えた大将戦。佐藤康光九段と糸谷哲郎八段のリーダー対決。
1局目は佐藤九段が独特の差し回しから優位を築いたかに見えましたが、途中うっかり銀を取られて混戦に。しかし最後は康光九段が差し切って勝ちました。
2局目は糸谷八段が優勢な場面から、佐藤九段が王手飛車を掛けさせながら玉を上部脱出するという勝負術を見せ、千日手に持ち込むことに成功。しかし指しなおし局は糸谷八段が反撃が炸裂させて勝ち。
最終決戦となった3局目は、佐藤九段が優位を築き、糸谷八段の激しい粘りをかわして勝ち切りました。
これで大将戦は康光九段が2勝、糸谷八段が1勝と、佐藤康光九段が早指しの雄糸谷八段に競り勝ちました。
これでトータルするとチーム康光が5勝4敗で+1ポイント、チーム糸谷が4勝5敗で-1ポイントという結果になりました。
感想
いやあ、チームレジェンド、想像以上の強さでした。
正直なところチーム糸谷はこのグループでは一歩抜けてるかと思っていたので、そこに対して上回るとは思っていませんでした。
谷川先生は1局目がもったいなかったですが、それがなければ2連勝していてもおかしくなかったですし、森内先生は1局目を負けた後も終始安定して正解手を選び続け、2・3局目の勝ちを手繰り寄せた印象です。康光先生はあの糸谷先生に対して大激闘の末ねじり勝つという、もう「強い」としか言いようがない戦いぶりでした。
最近の康光先生の将棋は「丸太を振り回す」と表現されています。どうしてそうなったのかよく知りませんが、迫力はあるが武器として洗練されてはいない、ただ剛腕を持った者にしか扱えない、そんなイメージかと思います。今回は超早指しということもあり、まさにそんな将棋が見られた気がしています。
谷川先生、過分なる評価を恐縮です。光速流は名は変わらずとも常に進化を遂げていて素晴らしいです。私は当時、緻密流や1億と3手読む等と言われていた頃でした。現在は◯◯とか◯◯流(普段は至って品行方正?)等の評価をいただき迷走?しておりますが歳を重ね上手く融合できればと思います。(佐藤康光)
— ◇チーム康光 レジェンド◇第3回AbemaTVトーナメント (@TeamYasumitsu) May 20, 2020
対するチーム糸谷は、悪くはなかったけどもっとやれたはず、という思いがあるのではないでしょうか。-1ポイントとなりましたが、予選突破の本命であることは変わらない気がしています。
次戦はチーム木村vsチーム糸谷。
チーム木村は初登場。チーム糸谷は2戦目となります。やはり今回と同じように、おじさん軍団のチーム木村が、チーム糸谷に対してどこまでやれるかという戦いでしょうか。最終節にもつれ込む展開を期待したいと思います。
来週も楽しみです。